唯一、結果が明らかになっている外交実績としてはアフガン撤退なのではないか? 2021年9月に米国は約20年にわたり軍を派遣していた、アフガニスタンから撤退をした。その結果、アフガンの民主政府は瞬く間に崩壊し、9.11同時多発テロの実行犯組織アルカイダを匿っていた前科があるイスラム武装組織タリバンが政権を奪還することとなった。

また、米軍の撤退が進行する中で、13名の米兵がテロ攻撃を受け死亡する事件が発生し、離陸する米軍機をアフガン市民が追いかける映像などが世界中に流れ、混沌に満ちたものだった。

アフガン撤退はアフガン市民にとっては悲惨な結果を招いたが、アフガン政府や軍は腐敗しており、さらなる財政支援を行っても健全な民主政府がアフガンに誕生するという見込みが薄くなっていた。また、そのような状況にありながらも、米軍部が強硬に反対しており、この抵抗を受けアフガン撤退を目指していたトランプ政権は撤退時期延長を強いられた。

しかし、米国の外交安保政策を司る重要ポストに側近を配置したバイデン大統領は強いリーダーシップを発揮して、米国民の生命、財産が浪費されていたアフガンでの国家建設というプロジェクトにピリオドを打つことに成功した。

その結果、アフガン撤退直前にピークに達していたバイデン政権の支持率は、それ以降もとの水準に戻ることはなかった。しかし、米国民の利益を考え、海外関与の優先順位をリセットするという試みは実績といって相応しいのではないのか?

ガザ戦争という負の遺産

しかし、何と言っても未だ停戦に向かう道筋が見いだせていないガザ戦争は、バイデン外交最大の「汚点」であり、そう後世から認識されるようになると考える。バイデン政権はハマスのテロ攻撃を受けたイスラエルに無制限の支持を与えている。(その結果、非戦争市民の犠牲者が増え続けているとの理由で左派からはそれがジェノサイドにお墨付きを与えていると批判されている)。