今回の「ポイント禁止」のようなふるさと納税縮小策にあわせ、トラストバンクは、行政業務をサポートする「B to G(Business to Government)」に、シフトしていくことだろう。
一方、楽天のポイントへの執着は弱まる気配がない。
「ポイント禁止とかいうやり方に憤りを感じる」 「断固反対する。傲慢すぎる」
楽天の三木谷社長は、SNSに感情的なメッセージを投稿している。
だが、そもそもポイント制度とは何だろうか? 顧客囲い込みの手法である。自店のリピーターを増やしたい、という経済的な動機にもとづく「私益」のためのものだ。
では、ふるさと納税とは何か。ふるさとへの恩返しである。道徳的な動機にもとづく「公益」のためのものだ。だからこそ寄付制度の転用という「法的テクニック」を用いることが可能だったのだ。
だが、その転用が歪みを生じさせている。払った税金の一部を返礼品で――加えてポイントまで――取り戻している時点で「寄付」の体をなしていない。
ふるさと納税は、税収を増やすわけではない。それどころか、国全体としての税収をおよそ「半分(=5割)」減らしてしまう。「半分」の内訳は、返礼品そのものがおよそ3割。返礼品の発送などが1割、そして、ふるさと納税サイトの手数料(掲載・広告)が1割とされる。
昨年のふるさと納税受入額は「1兆1,175億円」だった(※1)。うち「5,429億円」が返礼品等に費やされ、「1,100億円程度」が、ふるさと納税サイトを運営する「東京の」企業に流れている。
これが、「ふるさとへの恩返し」のコストだ。制度趣旨を遵守するのであれば、このコストを削減し、ふるさとの「手取り」を増やすことが最優先課題だ。ポイント禁止などという微調整で済む話ではない。
その微調整にすら異論を唱える事業者がいる。そこまで、この「歪んだ制度」が定着してしまったのだろうか。脅威を感じるばかりである。