また、ずっと憧れていたカフェを定年退職後の虎の子を使って開業。店舗経営に強い親戚の経営コンサルタントが出店タイミング、ロケーション、開業費用について必死に再考を促したが、勢いで開業してこちらも1年持つことはなかった。

そもそも、「直感を信じろ」とアドバイスされるまでもなく、うまくいかない人の多くはとっくに直感に素直に従っている。何か挑戦をする上では「優先順位的に考えれば、今はやりたいことではなく、まずは重要度の高いやるべきことから手を付ける方が効率的」という論理的で筋が通るアドバイスに従う代わりに、自分がやりたいこと、心惹かれるものばかりやる。確かに最初は興奮の熱もあって楽しいが、当然論理的に伸びるやり方でないので必ず伸び悩む。そして冷静になった後、伸び悩みを抜けられないことに絶望してやめてしまうのだ。

最初からやりたいことばかりやってもうまくいく人は、元々センスも能力も非常に高い一部の優れた人だけである。凡人はまずはやるべきことから手を付けて早く結果を出すべきだ。伸びれば楽しくなるので自然に続いていく。

一流の直感のすごさ

対して一流の人たちの感じる直感は違う。こちらはまさしく本物だ。

面接をして上長や役員が全員OKを出したが、社長だけはNGを出した。「彼はうちには合わないと思う」という。何度も会議を重ねて最終的に社長を説得し、「やめたほうがいいと思うぞ。オレはカンに自信があるから」といいながらも最後は押し切られて採用になった。しかし、入社後その人物は次々とトラブルを起こした。注意すると「パワハラだ」と騒ぎ、最後は会社のお金を横領して追い出された。社長には言語化できない何かが見えていたようである。

また、自分自身は一流でもなんでもないが、対人関係についてはセンシティブに感じ取ることがある。過去に新橋で行われた交流会で楽しく話をしている時に、ある男がやってきた。経歴も学歴も一流で笑顔もトークも素晴らしい人だった。周囲が「すごいですね」を連呼してSNSで友達登録をする中で、自分は言いようがない違和感を覚えた。うまく言葉にできないがこの人は何かがおかしい。自分は彼とSNSでつながることはしなかった。