■「熱を吸収」は正確でなく…

真夏に着ると黒より危険な色、その正体にゾッとした 8割超が「知らなかった」判明
(画像=『Sirabee』より引用)

クールな印象のある青が高温になりやすく、明るい印象を受ける赤、黄が低温グループに属するという事実は、非常に意外であった。「夏に赤い服を着ると暑苦しく見えるから、青い服で少しでも爽やかな気分になろう」といった作戦は、完全に裏目に出ていたワケだ…。

真夏に着ると黒より危険な色、その正体にゾッとした 8割超が「知らなかった」判明
(画像=『Sirabee』より引用)

なお、今回の調査結果を受けて一ノ瀬氏は「『熱を吸収』という表現の理解に、個人差がある気がします」とも分析している。

多くの人が「黒は熱を吸収しやすい」という印象を持っていると見越し、同表現を使用したが、実際は「黒は太陽放射を吸収しやすい」(=温度が上昇しやすい)という表現が適切である。

Tシャツが熱を帯びるメカニズムについて、一ノ瀬氏は「熱は接触した固体(液体)との間でしか吸収されません。そのため空気に面したシャツの表面へは放射が吸収され、後に温度上昇でそのエネルギーが使われることになります」と説明。

色ごとに見られる温度の差異については「太陽放射の反射・吸収・透過のバランスが色ごとに決まっており、見た目の明るさとは微妙に違います」「濃緑が黒より熱い理由は、可視光および近赤外の合計で、吸収(反射や透過以外)が最大であったという理由です」とも補足している。

これから8月を迎えるにあたり、暑さはより深刻になっていく。クローゼットの中の夏服の色を、今一度確かめておこう。

【出典】

Ichinose, T., Y. Pan, Y. Yoshida (2024):

Clothing color effect as a target of the smallest scale climate change adaptation.

International Journal of Biometeorology, 68.