■「黒よりも熱い色」が存在した

一ノ瀬氏は以前、「最小スケール気候変動適応策としての被服色彩選択効果について」という発表の中で、色違いの9色のポロシャツを使用した実験結果について言及している。

真夏に着ると黒より危険な色、その正体にゾッとした 8割超が「知らなかった」判明
(画像=出典:Ichinose et al. (2024): International Journal of Biometeorology, 68.、『Sirabee』より引用)

曰く、「色彩による温度差は明瞭であり、白、黄がとりわけ低く、灰、赤がほぼ同じレベルで、紫、青がさらに高めで拮抗し、緑、濃緑、黒が最も高温のグループを形成した」とのこと。

真夏に着ると黒より危険な色、その正体にゾッとした 8割超が「知らなかった」判明
(画像=出典:Ichinose et al. (2024): International Journal of Biometeorology, 68.、『Sirabee』より引用)

その温度差は非常に大きく、なんと「濃緑(高温)と赤(低温)との間には5〜10℃の温度差(夏季日中の日照条件下)が生じる」と、衝撃の事実が明かされたのだ。

真夏に着ると黒より危険な色、その正体にゾッとした 8割超が「知らなかった」判明
(画像=出典:Ichinose et al. (2024): International Journal of Biometeorology, 68.、『Sirabee』より引用)

各ポロシャツを表面温度の高さ順に並べると、濃緑、黒、青、緑、紫、赤、灰、黄、白となり、僅差ではあるが「熱を吸収する色の代名詞」的存在の黒より、濃緑の方が高温になったことが判明。

濃緑(最高温)と白(最低温)の間では、約15℃もの温度差が生じるという。また、ほぼ無風の条件下では黒や緑で50℃を超える事例も観測されており、聞いているだけで恐ろしくなってしまう。

これらの事例を踏まえ、一ノ瀬氏は「夏季の暑熱リスク軽減の視点から、被服の色彩選択も重要な気候変動適応策の一つと言えます」と結論づけていた。