■推測1:看護婦の告白
しかし、ブラッドフォードに住む作家で言語学教授のハロルド・トマスは、謎の答えを知っていると考えている。
1998年にインターネットが一般に普及し始めたころ、トマスはマージョリーの情報に1万ドルの賞金をかけ、その当時65歳になったマージョリーの姉ドロシアの写真も添付した。1人の女性が、フロリダで共に働いていた看護師が、ドロシアにそっくりだと連絡してきた。トマスはフロリダまでその女性看護師に会いに行ったが、彼女は自分はマージョリーではないと否定した。
しかし2005年になって、その看護師女性からトマスに再び連絡があった。彼女は仕事を辞め、故郷ノースカロライナ州の農場に戻っていた。そして彼女は、母親から聞いた話をトマスに語った。
彼女の父親は、冬季だけブラッドフォードにある精錬所で働き、春には自分の農場で農作業をするためにノースカロライナに戻る暮らしをしていた。
1938年の母の日、故郷へ車を走らせていたその時、父親はアレゲーニーの森付近で女の子をはねてしまった。女の子の周りには誰もおらず、焦った父親は近くの町の病院に連れて行こうとしたが、女の子が死んだと思い恐怖を感じた。しかし途中で女の子は目を覚まし、つい最近、自分の子どもを亡くしたばかりだった彼は、マージョリーを連れ帰り、農場で育てることにした。
その数年後、父親は第二次世界大戦で片腕を失い、彼は妻に、これは自分がしたことへの罰かもしれないと語った。その女性看護師には別の家族の記憶があったが、両親はいつもそれを打ち消したという。
話を打ち明ける代わりとして、女性看護師はトマスに、2つの約束をさせた。 1つ目は姉のドロシアを除き、誰にも彼女の身元を知らせないことだ。彼女はドロシアに会いたがっていた。もう1つは、トマスは彼女が生きている時は決してこの話を公にしないことだった。しかし、ドロシアの健康状態はこの時、非常に悪く、結局2人は会うことができなかった。女性看護師は10年前に亡くなり、トマスは2010年にこの話を綴った著作を出版した。
しかし、この話を信じる人は多くないらしい。マージョリーの従妹の娘であるキャスリーンもこの記述内容について警察とも話したが、彼らはこの話を真剣に捉えてはいないと言う。
もしトマスの“物語”が真実ならば、それはマージョリーが痕跡も残さずに素早く消えた理由を説明することにはなるだろう。しかし、このストーリーには疑問も残る。両親はどうやって秘密を長く保つことができたのか? 4歳の女の子が突如、現れたことに疑問を持つ近隣の人はいなかったのか?
残念ながらこの推測が、真実である保証はない。トマスの本では、女性看護師は彼女がマージョリーの消えた日の夜、例のモーテルで目撃された少女だと主張する。しかし1938年10月の記事によると、警察とマージョリーの父親は、モーテルで目撃された商人のコンラッド・フリドリーに現に会いに行っている。警察は報道陣に対し、女の子はマージョリーに似ているが、彼女ではなかったと公式発表しているのだ。
ではマージョリーは、一体どこに行ったのか?