質面での信頼性が確立

 楽天Gは24年内に携帯電話事業を単月黒字化するという目標を掲げており、そのためには契約数で800万〜1000万件、ARPU(1契約あたりの月間平均収入)で2500〜3000円が必要と同社はみているが、5月には同社は黒字化が目前に迫っていると説明している。

 契約数に加えて黒字化のカギとなるARPUをみてみると、24年1〜3月期は前四半期から40円減の1967円。この金額はARPUが低い傾向がある法人ユーザー分が含まれており、一般ユーザーの月間平均データ利用量は前年同期から7.0GB増の24.2GB。月間利用データ量20GB以上の契約回線数は23年5月から10カ月間で41.7%増となっており、これらは将来的にARPUの押し上げ要因となる。

 携帯電話事業の黒字化の達成は近いと考えてよいのか。前出・鈴木氏はいう。

「楽天Gは楽天モバイルの黒字化は近いように語っていますが、現実にはもう少し時間がかかりそうです。というのは契約回線数は順調に増えているのですが、ARPUが伸び悩んでいるからです。黒字化の目安は、私の試算だと契約回線800万の場合はARPUは3000円、ARPUが2500円なら回線数が1000万回線必要だと考えられます。にもかかわらず実際はARPUはまだ2024円と目標よりも低い状況です。それを改善する施策としては、留守電の有料化などARPUのアップセル企画が推し進められるようです。

 加えて楽天モバイルは全ユーザーの平均利用データ量が24.5GBと、データのヘビーユーザーが多い傾向があります。今後、他キャリアからスイッチしてくる新規客もデータ無制限にひかれるユーザーが多いでしょうから、増える回線分についてはARPUは高くなりそうです。

 これらの状況から、楽天モバイルはいずれ黒字を達成するでしょう。ただし、その場合でも回線数は1000万回線は必要になると考えられ、到達時期は楽天が望む年内ではなく、来年6月あたりにずれ込むのではないでしょうか」