これはもっぱら「空気圧」の働きによります。

順に説明しますと、たとえば、水入りのペットボトルを傾けた時、当然ながら中の水が流れ出ていきます。

見た目には水だけが出て行っているように見えますが、「水が出た」ということは、その空いた場所に「空気が入ってくる」ということです。

少なくとも地球の自然下では、何も存在しない真空の状態にはなりません。

真空が生じそうになると、空気がすばやくその場所を埋めにいきます。

つまり、ペットボトルから水が出るとは、同時に、空気が入ってくる通路も確保されていることを意味します。

なので、ペットボトルを急に逆さにすると、水がゴボゴボッと詰まって上手く出てこなくなりますね。

あれは空気の通路が確保されにくくなっているためです。

急に逆さにすると、水が出にくくなる
急に逆さにすると、水が出にくくなる / Credit: Steve Mould/youtube(2021)

ここから、ティーポットの場合でも、一つの注ぎ口からドリンクを出すには、もう一つ別に、空気が入り込める穴がいります。

それが取手の穴です。

この穴をふさぐと、空気の通路は注ぎ口しかありませんが、そこは液体が塞いでしまい、空気も入ることができません。

空気が入らない=水も出ないということです。

しかし、これだけでは完全な説明になっていません。

ペットボトルの例のように、ゴボゴボッとなっても、一応水は出て行くからです。

ところが、これは注ぎ口がある程度の大きさを確保している場合に限られます。もし注ぎ口が小さいと、ある力に負けて、水が出て行かなくなります。

それが「表面張力」です。

穴を両方押さえると、ドリンクは出てこない
穴を両方押さえると、ドリンクは出てこない / Credit: Steve Mould/youtube(2021)

水は、水分子という小さな粒が集まってできています。

この粒同士は互いに引っ張り合っており、その力は水の表面に近いほど強くなって、表面積をできるだけ小さくしようとします。