■メーカー「ザラッとして硬いティッシュ」
「理系に愛用されている」「空箱で卓球ができる」という有力な情報を携え、クレシアに話を聞いてみる。
すると、キムワイプの特徴について「一言でいうと『ザラッとして硬い、羽毛が出にくいティッシュ』です」「羽毛立ちや紙粉が少なく、拭き取り後も繊維が目立たない、紙ワイパーとなります」との回答が得られたのだ。

(画像=『Sirabee』より引用)
キムワイプを語る上で、この「ザラザラ感」の話題は外せないという。
クレシア担当者からは「キムワイプは主に、大学の研究室で初めて触れる機会が多く、見た目はティッシュの半分ほどのサイズ感です」と説明する。「『ミニサイズのティッシュなのか?』と思って触れた瞬間に感じるのは、ティッシュとは全く違うザラザラ感と硬さです。人生で触れたことのない感触にハッとさせられることにより、強い印象を植え付けます」と、いささか思想の強いコメントが飛び出す。
キムワイプのザラザラした質感は「鬼クレープ加工」の賜物で、クレープとは「シワをつける加工」を指す。こちらの加工により、吸水性を良くし、吸収したものを逃しにくくする効果が備わるのだ。
そして、キムワイプ最大の特徴は「不変であること」だという。飲食物や衣類を筆頭に、この世の多くの製品はトレンドや社会情勢、時代のニーズに合わせてマイナーチェンジを繰り返していく。
しかし、クレシア担当者は「キムワイプのスペックや性能、品質を変えてしまうと、実験の数値などに直接影響が出てしまうため長年にわたり、あえて性能と品質は変えていません。また、多くのマニュアルにもキムワイプは頻出しているため、スペックの変更などはせずにいます」と断言。
「変わらないこと」が真に求められていると理解した、製紙メーカーとしての矜持が感じられるスタンスではないだろうか。