政治的な意図が明白だった大学の声明

では何のために、声明の正体“裏の顔”である国家情報部がこんな声明を出すのか。“学歴詐称”がバレ、窮地に陥った“子飼い”の小池氏を都知事選に再選させるためである。陰謀論じみて聞こえるだろうが、そう言っているのは私ではない。国家情報部のコントロール下にあるエジプト現地メディアの報道である。

声明発表の3日後、6月11日に一斉に報じられた記事の見出しをいくつか紹介する。

「カイロ大学、小池都知事のために都知事選に‟点火”」(ウェブ報道サイト「アルバラド」)

「カイロ大学、危機に瀕する東京都知事を救うために介入」(同「アハバーラック」)

「カイロ大学、都知事の卒業証書を認めない日本メディアに対し法的手段で脅迫」(政党系日刊新聞「アルワフド」ネット版)

“カイロ大学”声明とは、事実の公表ではなく、政治的な意図があることが明白になった。知事再選に助け舟を出し、小池氏に恩を売りつけるためである。

この政治声明に歩調を合わせ、小池氏は「(卒業の)ひとつの証になるかと思う」(6月9日)ととぼけるが、その見返りは何なのか。そして、エジプト国家情報部の正体とは…。(続く)

※本原稿のもとになった内容は筆者の浅川芳裕氏のツイッター@yoshiasakawaのスレッドにまとめられている。

浅川 芳裕 ジャーナリスト、『農業ビジネス』編集長 1974年、山口県生まれ。エジプトの私立カイロ・アメリカン大学(1992年~93年)、国立カイロ大学文学部セム語専科(1993~95年)で学ぶ。著書は、世界を変えたカイロ大学の建学思想を読み解く『カイロ大学 “闘争と平和”の混沌』(ベスト新書)、『ドナルド・トランプ 黒の説得術』(東京堂出版)、『日本は世界5位の農業大国』(講談社+α新書)ほか多数。訳書に米上院議員ランド・ポール著『国家を喰らう官僚たち―アメリカを乗っ取る新支配階級―』(新潮社)がある。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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