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何となく実験的な試行錯誤を繰り返した軽スペシャリティ
フロンテクーペから大きくなって550cc化!の初代(1977年)
何となく実験的な試行錯誤を繰り返した軽スペシャリティ
クルマの歴史というのはさまざまなものがあり、ソコソコ人気がありながら一代限りで終わるモデルもあれば、何となく報われないまま何代にもわたり作られ続け、後世から見ると何か不思議なポジションにあるクルマもあります。
今回紹介するのはそんな「恵まれなくとも歴史あり」のひとつであり、国産車では代表格とも言えるスズキの「セルボ」です。
基本的には最後の5代目を除けば女性向けのちょっとオシャレな軽スペシャリティ、しかし男性向け硬派路線のモデルを設定してみたりと、主力だった「アルト」に比べ、実験的な試行錯誤が目立つクルマでした(実験的という意味では5代目も同じ)。
フロンテクーペから大きくなって550cc化!の初代(1977年)
「セルボ」という車名がスズキの歴史に初めて登場したのは1977年、実質的にはフロンテクーペ(1971年)の550cc版であるリアエンジンの軽スペシャリティクーペでした。
前身のフロンテクーペ自体、当初は360cc2サイクル3気筒37馬力のハイパワーエンジンを搭載する硬派なクーペで、「ふたりだけのクーペ」というキャッチコピーからも、本格的な走りから軟派なデートカーまで対応する男性向けのクルマというイメージ。
しかしこれが思ったよりウケずに2+2クーペに仕立て直し、厳しい排ガス規制でパワーダウンしていき、軽自動車規格改定で大型化と排ガス規制によるパワーダウンを補う550cc化で再出発したのが、初代セルボです。
前身より大排気量化したとはいえ排ガス規制で最高出力はグロス28馬力とささやかなものになり、低く構えたリアエンジンの2+2クーペというコンセプトこそ受け継いだものの、基本的に女性向けパーソナルクーペとされたので、内装もそれに合わせたマイルド路線。
元が元なので、女性向けといっても可愛らしい、親しみやすいというよりゴツゴツした雰囲気が目立つ外装はどちらかといえばワイルド路線で、チューニングカーとして「本来の魅力」を取り戻すケースもありました。