■米空軍武官の見解は……!?
荒井会長と柴野は大使館で、空軍武官ラモール少佐と会見した。
アメリカ大使館のように大きな大使館では、本国外務省の職員だけでなく、軍関係者を外交官の身分で駐在させることがある。これが駐在武官である。
荒井たちはこのラモール武官に銚子の事件を説明し、落下物の件につき意見を聞いた。するとラモール少佐はこう述べた。
「米軍は9月9日に銚子近辺で演習を実施したが、7日には行っていない。また、電波妨害の実験のため金属片をまくことはあるが、その際は大小各種の金属片を同時に落下させるはずであり、特定の小片だけ使用したとは考えにくい。ともあれ、落下物をアメリカ極東空軍に回して分析調査することとする。1週間後には返答できるだろう」
またこのとき荒井たちは、アメリカの円盤研究会を紹介してくれるよう少佐に要請し、了解を得た。
しかし、約束の1週間を過ぎ、1カ月以上が経っても、ラモール少佐からは一向に返答がなかった。しびれを切らした荒井が大使館に電話したところ、少佐は一言だけこう言った。
「落下物はアメリカ軍のものだった」
荒井は食い下がったが、それ以上は一切ノーコメントだった。もちろん、提供した金属片は戻ってこなかった。
その後1年近くたって、奨励館の松下技師から電話連絡があった。海外でも似たような金属片の破片がUFOからの落下物として記事が掲載されたというのだ。
結局、問題の金属片が何だったのか、結論は出なかった。ラモール少佐の言葉を信用できるなら、アメリカ軍が何らかの目的で製造したものということになるが、何の目的で、どういう経緯から銚子でばらまかれたのかなど詳細は一切明らかになっていない。しかも、ラモール少佐本人が、アメリカ軍は9月7日には活動していないと述べていることや、海外でも似たような事件が起きていたことを考えると、アメリカ軍が情報の隠匿を図った可能性も否定できない。
荒井の生前、筆者がUFOライブラリーを訪ねて銚子事件について話を聞いたときにも、アメリカ政府はUFOに関して何かを隠しているのではないかという口ぶりだったのを覚えている。だが、真相は今でも不明としか言いようがない。
参考:「日本空飛ぶ円盤研究会『宇宙機』第4号」、『UFOこそわがロマン』(並木伸一郎・岡静夫)
※当記事は2020年の記事を再編集して掲載しています。
文=羽仁礼
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提供元・TOCANA
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