高効率内燃エンジン、カーボンニュートラル・フューエル技術の開発
スズキは、2023年に高速燃焼を追求したスイフト用の高効率エンジン(Z12E型エンジン)を開発し、最大熱効率40%を達成した。
このエンジンは、今後のマイルドハイブリッド、PHEVと組み合わせられる新エンジンで、1.2L 3気筒で、74mm×92.8mmというロングストロークで、強ターンブルポート、コンパクト燃焼室、圧縮比13.0、デュアルジェット式ポート噴射の組み合わせとしている。
そして軽負荷時には大量EGRによりポンピング損失を低減し、高負荷時には中間ロック式可変バルブタイミング機構を使用してミラーサイクル運転を実現。さらに運転時の摩擦抵抗を極限まで低減し、電動ウォーターポンプを組み合わせるなどし、最高熱効率40%を実現している。
現在、このエンジンは12Vマイルドハイブリッドとの組み合わせになっているが、今後はより高効率な48Vマイルドハイブリッド(スズキ呼称は「スーパーエネチャージ」)を採用し、これがグローバルでメインのパワートレインとなる。
現時点では48Vマイルドハイブリッドのサプライヤーは発表されていないが、展示エンジンにはギヤ駆動の48Vスターター・ジェネレーターが装備されていた。
今後はこの高効率エンジン技術を全展開するとともに、インド市場ではカーボンニュートラルな圧縮天然ガス用のエンジンとしても使用するなど、次世代ハイブリッド向けエンジンとなっている。
しかし、スズキの最重要市場であるインド政府は、当初は2070年のカーボンニュートラルを目標としていたが、近年は、ロシア製原子力発電の大幅導入、石炭火力発電からLNG火力発電への切り替えが積極的に推進されており、今後劇的に電源構成がカーボンユートラル化に向けて加速すると予想されており、スズキも電動化戦略の見直しも必要となってくる。
SDVライト(ソフトウエア・ディファインド・ビークル)
電動化と合わせ、今後の課題となるSDV(ソフトウエア・ディファインド・ビーク)対応、つまり電子プラットフォームに関しても、エネルギー極少化を具現化したアフォータブルな仕組みでクルマの価値を創造する「SDVライト」を開発するとしている。
つまり将来の電子プラットフォームはより高性能、高速演算ができる中央コンピューターが不可欠とされているが、こうした高性能コンピューターは高価格のため、スズキはより低コストな中央コンピューター/電子プラットフォームを追求し、ソフトウェア更新は有線と無線(OTA)をベストミックスする方向だ。同時にハードウェアを共有して部品費を抑え、ソフトウェアを再利用して開発費を抑えるなどシンプル、軽量なSDVを目指している。