解雇も効率化
無駄の発生が悪とみなされるアマゾンでは、余剰人員の整理も容赦なく行う。米アマゾン・ドット・コムはコロナ禍による巣ごもり需要の高まりを受けて人員を拡充していたが、増大した人件費の圧縮のため人員削減にシフト。昨年1月までに約1万8000人、3月に約9000人を解雇し、11月にはゲーム部門「Amazon Games」で約180人を解雇。今年1月には「Prime Video」と映画・配信番組の製作スタジオで数百人、「Twitch」で500人強を削減するのに加え、2月には薬局部門「Amazon Pharmacy」とヘルスケア部門「One Medical」で数百人を解雇した。
そうした企業体質のひずみが生じることもある。21年、アマゾンジャパンに勤務していた男性が不当解雇されたとして社員としての地位確認などを求めて同社を提訴。男性によれば、同社は男性に業務に必要なシステムの使用や会議への出席を禁止し、退職勧奨を行った上で、勤務成績が改善しなかったという理由で解雇したという。また、22年10月14日付「FRIDAY DIGITAL」記事によれば、同社に勤務していた男性は課題達成の基準が不明確なコーチングプランに参加させられ、業務改善の名目で圧迫面接や退職勧奨を受け、上司によるパワハラの疑いを人事に相談したところ、その相談内容が上司に筒抜けになっていたという。また、社内ではPIP(Performance Improvement Plan)と呼ばれる個人の業績改善計画が存在し、ノルマを達成しなければ退職を迫られ、退職を拒否すれば降格され、実際に多くのアマゾン社員がPIPによって退職しているという。この男性は「FRIDAY」の取材に対し、ストレスから頭痛や吐き気に見舞われ、病院で適応障害と診断され精神安定剤を服用しながらPIPを続け、何度も退職勧奨を受けていたと語っている。
「アマゾンに限らず多くの米国企業では解雇についても効率的に行えるようにマニュアル化されている。いつもどおり朝出勤して業務を行い、外出してオフィスに戻り入口ゲートに入館証をかざすとエラーになり、確認してみると数分前に解雇通知のメールが送られていて、オフィスに立ち入りが許されず社内システムにも一切ログインできなくなるということが普通に行われている。もっとも、米国では突然の解雇が生じることが前提で労働市場も流動化しているので、そのときの経済状況にもよるが、すぐに転職しやすい環境があるのも事実。解雇の意思を示す社員をあの手この手で引き留めて妨害したり、逆にリストラ部屋や仕事を干すといった回りくどい手段を使って退職に追い込むこともある日本企業に比べれば、米国企業のほうが無駄な労力が生じなくてよいという考えもあるかもしれない」(外資系企業社員)
(文=Business Journal編集部)
提供元・Business Journal
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