■4800キロの観測旅行も
ビザーさん一家が最初に皆既日食の観測旅行に出かけたのは、1963年のこと。メイン州までの約3,000マイル(約4,800キロ)の道のりを、車で移動するロードトリップだった。
ビザーさんは自作の天体望遠鏡を持参し、皆既日食のために「観測ステーション」を組み立てるのがルーティーンだった。当時、人里離れた農家の一角に設置したことを、今でも鮮明に覚えているという。
この観測を皮切りに、ビザーさんはアメリカ国内で観測し得る皆既日食のすべてに立ち会った。「サンタローザ、ニューメキシコ、ネブラスカ、アラバマへは車で行きました」と振り返る。また、クルーズ船の旅で観測したこともあるそうだ。
娘のキャロルさん(76)は、家族旅行のおかげで高校卒業までにアメリカの49州を訪れたこと、自身の結婚式の日程を相談した際にビザーさんから「早めの日を選ばないと、皆既日食で私は出席できない」という趣旨の返答を受けたことを明かしている。