■家族に蔑まれ、生活費にもこと欠く日々の末に

 Neuticlesの開発には多くの苦労があった。1つは、資金繰りだ。

 地元投資家が協力してくれたとはいえ、当初の開発費の13万2000ドル(およそ1,450万円)はミラー氏も負担する。クレジットカードのキャッシング枠いっぱいを使って借金をし、家を抵当に入れて用意した資金も注ぎ込んだ。

 30匹の犬にテストし、問題がないことを確認したうえで、ようやく最初にビジネスとして手術を行ったのが1995年。製品ができて以降も販売状況は芳しくなかった。

 珍奇なプロダクトだけにメディアに騒がれもしたが、すぐに収束。一時期は、電球1つを買うことも惜しんで家ではマイ電球を持ち歩き、部屋を移動するごとに使い回すような経済状況だったという。

 周囲の視線も冷たかった。もともとこのビジネスに反対だった両親には「気狂いじみている」と言われ、周囲の人たちには「病んでいるんじゃないか」と噂された。

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(画像=Neuticle「Oddity Central」より引用,『TOCANA』より 引用)

それでもミラーさんはNeuticlesの販促に力を入れた。雑誌への広告出稿、ラジオショーへの出演とリスナーへの無料モニター提供、獣医師とのネットワークの構築などなど、地道な努力により少しづつNeuticlesの認知度は上がっていった。1日に数百件の問い合わせを受けるようになり、ビジネスとしての成功が見えてきた。

 そんな折に問題が発生する。使用したプラスチックが硬く、施術した犬が歩いたり座ったりするたびに嫌な音が出るとクレームを受けたのだ。最終的に、人間の豊胸手術に使用するシリコンを使用することで解消したのだが。