珍妙なペット用品を開発し、巨万の富を得た男がいる。グレッグ・ミラー氏、65歳。何が珍妙かといういうと、彼が作り出したのは、ペット用の疑似睾丸インプラント、つまり、ニセのキンタマなのだ。
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■メス犬の尻を追いかけて消えた愛犬
ミラー氏がペット用疑似睾丸インプラントの開発を思い立ったきかっけは愛犬の失踪だった。
90年代の始め、ミラー氏はブラッドハウンドの仔犬を飼い始めた。バックと名付けられたその犬は、発情期のメス犬を追いかけたまま姿を消してしまう。数日後に自宅から数マイル離れた場所で無事に見つかり、ことなきを得たのだが、戻ってきたバックを見てミラー氏は考えた。
「去勢しなければまた同じことが起きる」
それまで手術をするつもりは全くなかったミラー氏は考えを一転、バックの去勢を決断する。とはいえ、飼い主のエゴで愛犬を痛々しい姿にしたくはない。
そこでミラー氏は、獣医に「睾丸のインプラントはないのか?」尋ねてみた。すると、獣医は「そんなにクレージーなアイデアは聞いたことがない」とにべもなく答えたという。
世界初のペット向け疑似睾丸インプラント「Neuticles」のアイデアが生まれた瞬間だ。
去勢手術後、ミラーさんはバックの異変に気付く。術前と同じように自身の陰のうを舐めている様子がおかしい。あったはずの睾丸がないことにバックは気づき、不快感を感じて鬱状態に陥っているように見えたのだという。
「犬用の疑似睾丸インプラントは、クレージーではなく、実はクールなアイデアかもしれない」
そう考えたミラー氏は、バックに去勢手術を施した獣医と2人で開発を始めることになる。