■デザインは文句無しなのに…

その不安とは、ズバリ「通気性」である。

羽織物や重ね着など、工夫をすれば1年中着回せる半袖Tシャツだが、やはり1年で最も輝く時期は夏。そのため「いかに涼しく過ごせるか」というのは、デザインと同等か、それ以上に重要なファクターなのだ。

だが記者が不安を覚えているのは「Tシャツの素材」そのものにおける通気性ではない。時は、ユニクロが「ルーブル美術館」を発売した2021年に遡る。

猛暑日に着たTシャツ、強烈な汗染みにギョッとするも… ユニクロの神対応が半端じゃなかった
(画像=『Sirabee』より引用)

同シリーズのメンズアイテムは「モナ・リザ」や「ミロのヴィーナス」など、人類の必修科目と言うべき芸術作品をモチーフに、グラフィック・アーティストのピーター・サヴィル氏がデザインを手がけたコラボ作品。

英国バンドのNew Order経由でサヴィル氏のファンとなった記者には買わない理由がなく、6柄全てを速攻でポチッたものだ。当時はまだ2月だったため数ヶ月ほど寝かせ、初夏のシーズンから満を持して着用を開始。しかしある日、拭えない違和感が生まれ始めたのだ。

同シリーズの「モナ・リザ」Tシャツは、黄金比の長方形とモナ・リザが描かれた、非常にクールなデザイン。だがTシャツを脱いで内側を見ると、長方形のプリント部分に汗がぐっしょり染み込んでいたではないか。

猛暑日に着たTシャツ、強烈な汗染みにギョッとするも… ユニクロの神対応が半端じゃなかった
(画像=『Sirabee』より引用)

不安が確信に変わったのは、UT「永井博」が発売された2022年の夏。

猛暑日に着たTシャツ、強烈な汗染みにギョッとするも… ユニクロの神対応が半端じゃなかった
(画像=『Sirabee』より引用)

夏の暑さを吹き飛ばすかのような、爽やかなバックプリントのTシャツを着用して外出したところ、背中から滝のような汗が。プリント部分は熱を帯び、Tシャツの下はプリントの清涼感とは裏腹に、地獄のような有様になっていたのだ。

似た経験のあるUTユーザーは少なくないようで、ユニクロ公式サイトの商品レビューやX上の投稿には「UTのデザインは好きだけど、背中のプリントが暑すぎる」「プリント部分だけ、とにかく通気性が悪い」といった不満の声がチラホラと確認できる。

これらの事象をもとにUTを分析したところ、一連の現象は「ラバープリント」と呼ばれるプリント技法が原因であるという説が浮上。

そこで今回はUTヘビーユーザーを代表し、ユニクロのUTデザイナーへ取材を敢行することに。その結果、UTのプリントに秘められた「3つの真実」が明らかになったのだ。