■奇妙な証言の数々
さらに奇妙な証言もある。事故の前に何とか衝突を回避したドライバーの1人が、事故直後に白いバンに乗った2人の外国人が現場に向かっていたのを目撃したというのだ。2人はいずれも白衣を着たブロンドヘアの白人の男女で、女性は自分が看護師であると説明し、現場の近くで車を停めていたドライバーに医療援助が必要かどうかを聞いてきたという。スペイン語には外国なまりがあったということだ。
この峠道を通った2人の地元の司祭もこの白人カップルを目撃している。カップルの男が倒れたトラックの室内から何らかのパッケージを取り出して回収している様子を見たというのである。そのパッケージには何が入っていたのか。
また消えた少年、ファンについての目撃証言もある。
事故の翌年の1987年に、マドリッドの自動車教習所の教官が、盲目の老婆を導いている10歳か11歳くらいの少年にアメリカ大使館の場所を尋ねられたと証言している。この少年がファンではないかというのだ。
老婆はスペインに来てまだ6カ月しかたっておらず、スペイン語はあまりうまく話せないと訴えたが、少年は地域の方言でさえ流暢に話していたという。この教官が老婆に少年のスペイン語うまいその理由を尋ねたとき、彼女は著しく不快になり、少年とともにそそくさと立ち去ったという。
この少年がファンだとすれば、事故の影響をまったく受けていなかったことになるが、残念ながらこの証言を補足する新たな情報はまったく得られていない。
現在有力な仮説の1つは、アンドレスの一家が誰かから逃げていたか、ファンを誘拐した麻薬密売人に追われていたというものだ。アンドレス自身が麻薬密売業者であり、その仕事を通じて誰かと敵対していたのではないかという見立てである。
アンドレスの運転がスピードを上げて危険なものになった説明にもなり、白人カップルが回収したパッケージが麻薬であったとすればつじつまも合う。そして何度も車を停めて言い争いをしていたとすれば、20分間に12回も車を停めていた理由にもなる。
もうひとつ考えられるのは、事故前に誘拐されたファンを取り戻すために、アンドレスが敵の車を追っていたというケースだ。結果的に事故になるとすれば、事の顛末は1つめの仮説とはあまり変わらないだろう。
またトラックに乗っていたファンが事故後、今にも死にそうな両親を助けるために助けを求めて外に出てそのうち迷子になって山中で行き倒れたという説や、あるいはその途中で通りかかった車にピックアップされるも、その後残念ながらファンは死んでしまい、疑われるのを恐れたドライバーがファンの遺体を何らかの方法で処分したのだというシナリオも考えられる。
これらの仮説の中に真実に近いものがあるかもしれないが、今も「ファン・ペドロ失踪事件」は依然として未解決事件である。アンドレスと麻薬密売組織の関係の有無が明確にならなければやはり捜査は進展しないのだろうか。事件の背後には深い闇が横たわっているのかもしれない。
参考:「Mysterious Universe」、ほか
文=仲田しんじ
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提供元・TOCANA
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