1984年から1996年にかけて生産された『傑作』と呼ばれる名車、W124(Eクラス)。その名車のうちの1台(92年式300E-24、走行3万9000キロ、ボディカラー・ブルーブラックの極上個体)と、メルセデス・ベンツの『オールタイムスターズ』というサービスを介して巡り合った戸賀編集長。
オールタイムスターズ(以下、ATS)では、メルセデスのオフィシャル・サービスの技術を駆使しながら、純正パーツだけを使って、新車に近い状態にまで戻すことも可能だと知り、中古車をあまり好まなかった戸賀編集長もついに購入を決意!
そして2024年6月、ついにATSでの作業が終わり、無事、納車と相成りました。

ATSならではの作業とは何なのか? どこまでこだわったリフレッシュなのかを、今回も前回に引き続き、ATS担当の森進太郎さんにお話しをお聞きしたいと思います。聞き手も引き続き、菅原(スガ)でお送りします。
――今回も引き続きよろしくお願いいたします。森さん、ついに納車となりましたね。

森さん はい。お待たせしてしまいましたが、ついに6月2日、無事に納車となりました。

――トガブロを見ている限りでは、トガもかなりお気に入りのようですし、何よりATSの仕事が素晴らしかったと、絶賛していますね。

森さん ありがとうございます。でも、ホッとしているというのが本音です(笑)。戸賀さんのご要望にお応えすることができたのか? という点は本当に気になっていましたから、気に入っていただけているようで何よりです。

――そこで今回は、トガの愛車となった92年式、走行距離3万9000キロの300E-24に対して行われた作業内容をお聞きしながら、ネオ・クラシックに興味を持ったであろうJ PRIME読者のリッチなオジサンに、ATSこだわりのリフレッシュ、リファインの素晴らしさについて、お話しいただきたいと考えています。それでは、よろしくお願いいたします。

ATSがこだわるリフレッシュ、3つのポイント

森さん こちらこそ、よろしくお願いいたします。それではATSで行われる車両整備、リフレッシュにおいて、つねに留意している部分からお話しをさせていただきたいと思います。通常ATS車両の整備は、法定24ヵ月点検(車検整備)をベースに、各車種にあわせてアレンジされています。 たとえば300E-24、W124のセダンは、現代においてもメルセデス・ベンツの基本中の基本といえるクルマですので特殊な整備が必要とされる部分はありません。しかし、それでもチェックする箇所は多岐にわたります。まず、車両が店に入庫すると、内外装車両各部のチェックが入念におこなわれ、3つの点について注意しながら整備がすすめられます。

――3つのポイントがあるんですね。

森さん はい。その3つとは、①に30年以上前の”現役”であった当時の性能を100%引き出せるように、各部のリフレッシュすること。②に、製造された当時の容姿に復元すること。そして最後に③として、現代でも年間を通して”日常の足”として使用できるようにすること、になります。 まずは、分かりやすさを考えまして、外装からお話をさせていただきますね。
今回の戸賀さんの300E-24ですが、外装の傷などについてですが、ベース車両のコンディションが本当に良いこともあり、気になる傷はフロントボンネットと右フロントフェンダー2か所だけでした。
おそらく、いたずらと思われる軽いひっかき傷だったのですが、この部分をしっかりリペイント。他にはほぼ傷が無い状態でしたので、最後にボディコーティングを施してボディの修復は完成となりました。


リファイン、リフレッシュは、ここまでやるからオリジナルに近付けることができる。こだわりの作業内容とは?
(画像=『JPRIME』より 引用)
リファイン、リフレッシュは、ここまでやるからオリジナルに近付けることができる。こだわりの作業内容とは?
(画像=『JPRIME』より 引用)

――今回は、そんなに大きな修復をしなくても問題なかったんですね。

森さん はい。やはり保管状況が良かったのでしょうね。走行距離も3万9000キロと少なかったことを考えると、前オーナーが本当に大事に乗ってこられたことが想像できます。もちろん外装の傷みが激しかったとしても、私共では、純正のパーツを世界中から探すことができるネットワークがありますし、ペイントに関しても、メルセデスのクオリティを保証する作業を可能とする技術、そして設備が整っておりますので、ほぼ新車の状態にまで戻すことが可能です。幸いなことに、今回はそれらが活躍する機会はありませんでしたが(笑)。

純正ならば、AMG、ロリンザーのリフレッシュも可能

――その他に、外装でチェックする部分はありますか?

森さん 今回の戸賀さんのお車にはありませんでしたが、本来の姿でなく改造・ドレスアップ……死語ですかね(笑)、されているクルマも見受けられますので、こちらも復元してまいります。しかし当時の純正もののAMG、ロリンザーなどは、希少という側面もありますので、そのままいく場合もあります。 その他には、ホワイトウインカーレンズ、ホイールなど社外パーツが取り付けられている個体の場合は、世界中から部品を集めてひとつひとつ戻してまいります。


リファイン、リフレッシュは、ここまでやるからオリジナルに近付けることができる。こだわりの作業内容とは?
(画像=『JPRIME』より 引用)

――やはり世界中から純正部品を取り寄せられるのは、ATSの強みですよね。

森さん ありがとうございます。戸賀さんも純正パーツにこだわりをお持ちでしたが、そういったお客様に対しても、ATSというサービスはご満足いただける内容になっていると自負しております。

――先ほど、ホイールのお話しがありましたが、ホイールのリペアなどもあるんですね?

森さん ございます。今回の個体、ボディ同様ホイールも状態は良好だったのですが、多少ガリ傷が有ったので、ボディに合わせてすべて修理をさせていただきました。ホイールと同時に、タイヤはなるべく当時のパフォーマンスに近いミシュランをご用意しました。やはりいつの時代も、固めでコシのあるミシュランの乗り心地は変わらないですね。W124のサスペンションとの組み合わせは、まさにベストマッチだと思います。その他にも、モールの磨きだしなども行い、製造された当時の姿に復元することを目指しています。


リファイン、リフレッシュは、ここまでやるからオリジナルに近付けることができる。こだわりの作業内容とは?
(画像=『JPRIME』より 引用)