■転売ヤーのご先祖さまが既に?

その混乱とは「オイルショック」(石油危機)である。

当時の状況について、造幣局は「当初発行を予定していた記念貨幣は『日本万国博覧会記念100円白銅貨幣』の規格と同一のもので企画を進行していました」「しかし、オイルショックに端を発した総需要抑制策から波及した原材料の節約の問題などを踏まえて小型化することとなり、通常の100円貨幣と同一に決定されました」と振り返る。

ちなみに万博の記念貨幣が直径28mm、量目(重さ)9gだったのに対し、通常貨幣は直径22.6mm、量目4.8gであった。

また発行枚数に関しては、先例となる「札幌オリンピック記念貨幣」(3,000万枚)、「万博記念貨幣」(当初の発行は3,000万枚だったが4,000万枚になった)が、引き換え当日の夕刊に「3,000万枚あっという間」「早くも古銭商で高値取引」などと報じられた点を考慮したほか、海洋博協会等からの要望もあり、倍の6,000万枚に決定。

デザインには相当な気合が入っており、とくに「波」の図柄をめぐっては、かなり多くの討議が実施されたそうだ。

お釣りで渡された奇妙な100円、偽金と思いきや… 50年前の転売ヤー大興奮なレア物と判明
(画像=『Sirabee』より引用)

かくして75年7月3日より(海洋博会場では開会当日の20日から)一般引換が開始されることとなり、同貨幣は大好評で迎えられる。

しかし、同記念貨幣にプレミアをつける人物が現れたり、貨幣商が100枚単位で単価260円〜300円で取引を行う事態にまで発展。最終的には様々な要望を加味し、6,000万枚の追加発行が行われたそうだ。

50年経った現代日本でも限定品の「転売」が問題視されているが、もう50年経っても同様の現象が見られることだろう…と考えてしまうのは、記者が捻くれているだけだろうか。