■あっけない逮捕
5月22日、ストリートの遺体が見つかったホテルから「悲鳴が聞こえる」という通報があった。警察が駆けつけると、その部屋には手錠で拘束されて凄惨な拷問を受ける女性の姿があった。逃げようとした男性が逮捕され、女性は無事保護された。
逮捕されたのはニュージャージー近郊に住むリチャード・コッティンガム(当時33)。保険会社でコンピューター・オペレーターを務める真面目で優秀な会社員で、離婚調停中の妻との間に生まれた3人の子供をかわいがっているごく普通の父親だったという。無口で人付き合いは苦手だったらしいが、彼を凶悪な殺人鬼だと思うような人はいなかった。
しかし、ストリートの遺体に残された手錠の指紋とコッティンガムの指紋が一致した上、家を捜索すると、手錠や拷問器具などが次々と見つかったのである。さらには殺人現場から持ち去られた「戦利品」も見つかり、彼が「タイムズ・スクエアの切り裂き魔」であるのは明らかだった。