■海外の著名人
・ アルベルト・アインシュタイン(理論物理学者)
相対性理論でノーベル物理学賞を受賞したアインシュタイン氏(1879年3月14日、ドイツ生まれ)は、 腹部動脈瘤の肥大により1955年4月18日に移住先の米国で亡くなった。ユダヤ教徒の両親から生まれたが、生前に宗教は「子供じみた迷信」と語っており、遺灰はプリンストン高等研究所の敷地内に散骨されたといわれる。
・ クライド・トンボー(天文学者)
冥王星の発見者として有名な米国のトンボー氏(1906年2月4日生まれ)は、1997年1月17日に肺塞栓症で亡くなった。遺灰の一部は冥王星探査機「ニュー・ホライズンズ」に搭載され、地球から最も遠くに葬られた人物となった。
・ ヴィヴィアン・リー(女優)
マーガレット・ミッチェル原作の歴史小説の映画化である『風と共に去りぬ』で知られる英国の女優リー氏(1913年11月5日生まれ)は、長く双極性障害(躁病と抑うつの両方がある精神障害)と慢性結核に悩まされ、1967年7月8日に肺塞栓症で亡くなった。生前から散骨を希望し、別荘があった英国ウエストサセックスの湖に散骨された。
・ ジョージ・ハリスン(ミュージシャン)
ビートルズのギタリストだったジョージ・ハリスン氏(1943年2月25日、英国生まれ)は、インド音楽との出会いをきっかけにインドの霊性やヒンドゥー教に傾倒したが、晩年は肺癌と脳腫瘍を併発し、2001年11月29日に亡くなった。生前、自分の遺灰はインドのガンジス河に散骨してほしいと家族に伝えており、その通りにされた。
・ ジョン・レノン(ミュージシャン)
もう一人のビートルズのメンバー、ボーカル兼ギタリストだったレノン氏(1940年10月9日、英国生まれ)は、1980年12月8日に米国ニューヨークの自宅前で妻ヨーコ・オノ氏と一緒にいた時に暴漢に拳銃で撃たれ、亡くなった。葬式は行わず、ヨーコ氏が世界中に10分間の黙祷をお願いしたが、その後の遺灰の行方は公表されておらず、一説ではニューヨークのセントラルパークに散骨されたといわれる。
・ フレディ・マーキュリー(ミュージシャン)
英国のロックバンド、クイーンのボーカルだったフレディ・マーキュリー氏(1946年9月5日生まれ)は、パールシーと呼ばれるインド人の熱心なゾロアスター教徒の両親のもとにザンジバル島(現タンザニア)で生まれた。1986年にHIV検査で感染がわかったがメンバーにも秘密にされ、5年たった1991年11月24日にケンジントンの自宅で亡くなる直前にエイズ感染を公表した。葬儀の後、本人の遺志によりゾロアスター教の習わしで火葬され、遺灰は恋人だったメアリー・オースティン氏が場所を明かさずに散骨したといわれるが、それは一部だったようで、数年前に西ロンドンの墓地で墓が見つかっている。
■様々な意図と形態による散骨
こうして見ていくと、著名人では墓は要らないと言って散骨を希望する人が多く、また海や船が好きだったというパターンも見られる。
ところで、2021年に亡くなったジャーナリスト・評論家の立花隆氏は、生前に自著『知の旅は終わらない』(文芸春秋)で「死んだ後については、葬式にも墓にもまったく関心がありません」と書いていたが、「海に遺灰を撒(ま)く散骨もありますが、僕は泳げないから海より陸のほうがいい」と記し、妥協点として樹木葬あたりが良いと書いていた。
実は筆者も妻の国であるタイの慣習に倣い、死後に海洋散骨を希望している。それでも、かつては伝統的に先祖崇拝の要素が強い日本の環境で育ったが故、墓は誰にとっても必要不可欠だと思っていた。しかし今回、実際には散骨を行った著名人が日本でも非常に多いことを知った。散骨は通常の墓地への埋葬に比べると費用が安く済むだろうが、このような著名人たちが経済的理由から散骨を希望したとは思えず、それぞれに死後の埋葬方法や場所にこだわりがあったようだ。今後、ますます葬送方式は多様化してくかもしれない。
参考:「日経新聞」、「平安堂通信」、「NEWSポストセブン」、「WIRED」、「毎日新聞」ほか
※当記事は2021年の記事を再編集して掲載しています。
文=百瀬直也
※ 本記事の内容を無断で転載・動画化し、YouTubeやブログなどにアップロードすることを固く禁じます。
提供元・TOCANA
【関連記事】
・初心者が投資を始めるなら、何がおすすめ?
・航空機から撮影された「UFO動画」が公開される! “フェニックスの光”に似た奇妙な4つの発光体
・有名百貨店・デパートどこの株主優待がおすすめ?
・ネッシーは巨大ウナギではない! 統計的調査結果から数学者が正体を予測
・積立NISAで月1万円を投資した場合の利益はいくらになる?