■散骨された日本の著名人

 以下に、死後散骨された日本の著名人の例を紹介する。
・ 石原裕次郎(俳優・歌手)
 テレビドラマ『太陽にほえろ!』(日本テレビ系)などの主演で知られる石原裕次郎氏(1934年12月28日生まれ)は、1987年7月17日に肺癌で死去した。兄の石原慎太郎氏が「海を愛していた弟は海に還してあげたい」と海洋散骨を計画したが、当時の法解釈では認められず断念。その後、1991年に「葬送の為の祭祀で、節度をもって行われる限り違法ではない」と法務省が発表し、遺灰の一部が湘南の海へ散骨された。
・ 中島らも(作家)
 小説家、劇作家、随筆家、放送作家などとして活躍した中島らも氏(1952年4月3日生まれ)は、酔って階段から落ちて脳挫傷となり、2004年7月26日に亡くなった。自身のエッセイ集『固いおとうふ』(双葉社)では、自分の死後は「身体の利用できる部位は他者のために役立ててほしい」「お墓はいらない。金がムダである」と書いた。その遺志を受け、遺骨の一部は宝塚市の自宅庭に散骨され、残りの遺骨は生地の尼崎市に近い大阪湾に散骨された。
・ 横山やすし(漫才師)
 西川きよしとの漫才コンビで知られた横山やすし氏(1944年3月18日生まれ)は、1996年1月21日、前日に大量にビールを飲んで自宅で寝たあとで意識を失い、アルコール性肝硬変で亡くなった。競艇などのギャンブル好きだった故人の遺志により、愛艇を置いた宮島競艇場で「散骨の儀」が行われ、船上から遺骨の一部が散骨された。
・ 梨元勝(芸能レポーター)
 芸能界の裏まで知り尽くした芸能リポーターのレジェンドと呼ばれた梨本勝氏(1944年12月1日生まれ)は、2010年8月21日に肺癌のため亡くなった。船を所有するほど海が好きで、本人の遺志により、2011年8月7日に妻と長女が故人愛用のクルーザーに乗り、東京湾で海に散骨した。
・ りりぃ(シンガー・ソングライター)
 ベース弾き語りというユニークなスタイルで、『私は泣いています』の大ヒットで知られるりりぃ氏(1952年2月17日生まれ)は、2016年11月11日に肺がんで亡くなった。親しかった『DREAMS COME TRUE』のボーカル・吉田美和に、「お墓はいらないから、火葬後は骨を鴨川の海に散骨してほしい」と伝えており、その遺志の通り、住んでいた千葉県鴨川市内の鴨川に散骨された。
・ 木内みどり(女優)
 劇団四季でデビューした女優の木内みどり氏(1950年9月25日生まれ)は、2019年11月18日に急性心臓死で亡くなった。生前、一般的な葬儀や戒名は自分には不要と語っていた本人の希望で通夜・告別式は行われず、家族葬で粉骨化された後、2020年9月に静岡県内の知人所有の山奥に散骨された。その場所は、本人が生前に散骨場所として下見をしており、それほど「終活」に力を入れていたようだ。散骨の様子はNHK広島の番組でドキュメンタリーとして放送された。

死後に散骨された世界の偉人・有名人! 墓に眠ることを拒んだ“本当の理由”とは?
(画像=HansによるPixabayからの画像,『TOCANA』より 引用)