
(画像=テレビ朝日(「Wikipedia」より/Wiiii)、『Business Journal』より引用)
ジャニーズ性加害問題をめぐり8月29日に記者会見した再発防止特別チーム(座長:林眞琴元検事総長)が指摘した「マスメディアの沈黙」。創業者のジャニー喜多川元社長による性加害についてマスメディアが正面から報じなかったためにジャニーズ事務所の隠蔽体質を強化し、結果として多くの被害者を生む原因になった。多くのマスメディア企業、とりわけテレビ局には「沈黙」しないで伝えるべきことを報道する責任があったという批判だ。
【こちらの記事も人気です】
沈黙していたテレビ局の代表といえるのがテレビ朝日だ。『羽鳥慎一モーニングショー』や『大下容子ワイド!スクランブル』という報道的なワイドショーを看板番組にしていながら、この問題では沈黙を貫いてきた。3月に英国公共放送BBCがドキュメンタリーでこの問題を報道しても問題をスルーした。5月14日にジャニーズ事務所が藤島ジュリー景子社長の謝罪動画と文書を公開した際もスルー。この時にはニュース番組ではテレビ朝日も含めて民放とNHKの全局が藤島社長の謝罪動画を放送したにもかかわらず、まったく扱わなかった。さらに、8月4日に国連人権理事会の「ビジネスと人権」作業部会の専門家たちが聞き取り調査の中間報告を発表して、多くの番組が報じた際にも同様に沈黙を貫いた。
そして再発防止特別チームの会見を受け、テレ朝の上記2番組はこの問題を特集で扱った。他局の報道番組に遅れること約2カ月半。テレビ朝日のこうした姿勢を「テレ朝の呪い」と名付けたメディア研究者がいる。かつて日本テレビ報道局記者兼ドキュメンタリー番組ディレクターとして活躍した上智大学文学部新聞学科の水島宏明教授だ。「テレ朝の呪い」とはなんなのか。また、その「呪い」は解けたのだろうか。水島教授に聞いた。