ブラック新聞販売店で偽装請負労働

――先物会社を辞めた後は、どうしたのですか?

Aさん:1999年、就職情報誌で見つけた新聞販売店に入りました。新聞配達と営業です。新規開拓営業もありましたが、既存顧客に契約継続をお願いする営業が中心でしたから、ラクでした。

――世間的にはきついと思われている新聞の営業を、ラクと言えることが凄いです。

Aさん:入社の約5年後、事務の仕事になり本当に楽になりました。でも、新聞の購読者自体が徐々に減っていたうえ、2008年の秋からリーマンショックの影響もあって折込広告が激減しました。2010年、経営コンサルタントだという人が来て、ほとんどの従業員が雇用契約から請負契約に変更されてしまいました。

――違法な偽装請負でしょうね。

Aさん:でも、不況でしたから辞めて行くところも無く、仕方なく仕事を続けました。

2015年、貯金300万円のうち150万円をカルダノエイダに突っ込んだ

――暗号資産がブラックな環境からの転機だったのですか?

Aさん:忘れもしません、2015年12月18日。渋谷の貸会議室で行われたカルダノエイダのセミナーに参加しました。怪しいなと最初は思っていましたが、講師が、有名な野口悠紀雄先生の本を紹介して、暗号資産と関連させながら「世界はこう変化していく」と説明しはじめました。その説明でビビッときて、このチャンスを逃してはダメだと思い、当時の全財産300万円のうち150万円をカルダノエイダに突っ込みました。

――ビットコインバブルで社会的現象になる2年前、全く無名のカルダノエイダに貯金の半分をつぎ込むとは凄いです。

カルダノエイダが価格急騰、手持ちのカルダノエイダの時価が年収200年分に達した!

Aさん:すぐに暗号資産取引所に上場して価格高騰するはずだったカルダノエイダはなかなか上場せず、詐欺にあったのかと思い始めましたが、2017年10月2日、ついに上場を果たしました。そして、2018年の1月には1トークンが100円を超えました。1トークン0.24円で買いましたから、400倍以上です。

Aさん:当時、新聞販売店の収入が月に30万円弱、年収が約300万円でしたから、持っていたカルダノエイダの価格は、年収の200年分くらいに達しました。もう、新聞販売店の仕事を続ける理由は無いですよね。ところが、税金を調べてみると、最高55%も税金を取られると分かり、税金のあまりの高さに驚きました。なんとか税金を抑えなくてはと思っていたところで、小峰さんに会いました。

本音を引き出すため、屋台で飲みながらインタビューを実施筆者撮影

人生で初めての安定した生活をタイのバンコクでおくる

――海外移住先としてタイを選んだ決め手は何ですか?

Aさん:移住のために視察に来たのが初めてのタイでした。最初は、他の国と比べようと思っていましたが、タイには日本語が通じる病院もあるというのが大きかったです。

――その後もタイ以外と比べることはありますか?

Aさん:ヨーロッパへの憧れもあって、ヨーロッパの中でビザを取りやすそうな、ポルトガル、スペイン、オランダ、キプロス、マルタ、ラトビア、リトアニアなどを一昨年回りました。でも、旅行で短期間滞在するならともかく、長期間住むのであれば、タイだなと思い直しました。