住民に何らかの不利益が生じる懸念か

 こうした事例が生じることは自治体にとっても良くない影響をおよぼす懸念があるという。

「事業者が適切な行政手続きを踏んで建物を建設し、それに対し住民が反対して解体に至るという一連の事態について行政が対処しなかったという『行政の不作為』を問う声もあるでしょう。このような事態が起これば、業者としてはあまりにリスクが大きすぎて、もう国立市に新たにマンションを建設できなくなります。それが果たして街の発展にとって良いのか、という点は議論があるでしょう」(牧野氏)

 また、元ゼネコン社員はいう。

「大規模な建物であるほど、事業者は事前に住民説明会を開いたりして丁寧な説明を行いますが、いくら反対が大きくても、行政上の手続きが済んで法律的に正式に許可を得ていれば着工するケースが多いです。住民の立ち退きを伴う場合でも金銭で解決できることが大半で、そのために事業者は近隣対策費用を確保しています。

 今回のようなケースは他に聞いたことがありませんし、本当の原因はまったく分かりませんが、建設現場によっては一般住民ではない団体や組織から金銭を要求されたり『この業者を使え』などと、さまざまな圧力をかけられることはしばしばあります。実際に住民が住み始めると住民に何らかの不利益が生じる懸念があり、最後までそれを払拭できなかったという可能性はゼロではないかもしれません。いずれにしても、何か別の理由があるのでないかと業界内ではいろいろな情報が取り沙汰されています」

(文=Business Journal編集部、協力=牧野知弘/オラガ総研代表取締役)

提供元・Business Journal

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