9月29日に劇場公開された海上自衛隊にまつわる映画『沈黙の艦隊』。内容もさることながら、艦船に乗ってみたいと思った人は多いはず。あまり知られていないが、映画に出てきたような船に一般人が乗れる機会がある。海自の船の一般公開の様子を元自衛官の筆者が明らかにする。

■車両や艦船を一般公開

自衛隊は、広報や地域との連携強化を目的に、各都道府県に自衛隊地方協力本部(以下、地本)という組織を設置している。陸海空自衛官と防衛省の事務官により構成された地本は、募集や広報、地域との連携を業務としている。自衛隊は、地域の人々の理解や協力が無ければ、平時はもちろん有事の際も活動できないため、この連携は重要だ。

地域の祭りや行事に合わせて、自衛隊は車両や艦船を一般公開している。有事の際には、住民の避難や施設や土地の借用、情報提供などの円滑化がカギとなるため、平素からの理解と交流が不可欠である。艦艇や自衛隊車両の一般公開はこの一環だ。主に地本が企画運営し、陸海空自衛隊が人員や装備などを支援して行われる。

今回潜入した艦艇「とよしま」は、掃海艇(水中に仕掛けられた爆弾を除去する船)だ。福岡県北九州市の行事の際に、一般的な港に停泊し、老若男女問わず多数の民間人が乗船し、見学を楽しんでいた。福岡地本の担当者の案内に従って受付が行われた。