2050年には、アフリカの人口が世界人口の4分の1を占めることになると予想されている。アフリカでは都市人口も急増しており、2050年には12億人にのぼる見込みであると世界銀行は報告している。

人口増加に合わせて深刻化するのが、プラスチックごみの大量廃棄と、住宅の不足だ。

世界経済フォーラムによると、2019年に年間1,800万トンだったプラスチックの廃棄量は、2060年には約6倍の1億1,600万トンにまでなると予測されている。

また住宅も不足しており、サハラ砂漠以南のエリアでは2.3億人が劣悪な住環境、いわゆるスラムに暮らしていると国連のレポートは伝えている。

悪化の一途を辿るこれらの問題の解決に取り組むのが、東アフリカのエチオピアを拠点とするスタートアップKubikだ。

Kubikのチーム(Kubik提供)

Kubikのアプローチは、プラスチック廃棄物を建築資材へと加工するというもの。これにより、環境問題と住宅不足の同時解決を目指している。

今回、取材を行った同社COOのMichael Tekabe氏は、同社のビジョンを次のように語った。

「すべての人々に清潔で手頃な価格の住宅を提供することで、彼らの生活に尊厳をもたらすことが私たちのビジョンです。この目標を達成するために、リサイクルの難しいプラスチック廃棄物を、安価で低炭素な建築材料へと変換することに、今は注力しています。」

Michael Tekabe氏(Kubik提供)

一方、同社創業者であるCEOのKidus Asfaw氏は、UNICEFのイノベーションハブでグローバルプロジェクトマネージャーを務め、子供たちの生活の改善に取り組んでいる人物である。

Kidus Asfaw氏(Kubik提供)

2021年に設立されたばかりの同社だが、2023年には世界中のスタートアップを表彰するGlobal Startup Awardsで「Global Startup of the Year」に選出された注目のスタートアップだ。

Kubik提供

プラスチックごみから建築資材を製造

同社が開発に取り組んでいる製品が、下の写真にあるプラスチック製のレンガである。

Kubikのレンガで壁を作る様子: Kubik提供

このレンガを用いれば、壁やトイレ、倉庫など、さまざまな建物を安価に製造できるという。それだけではなく、CO2排出量の削減効果もあるとのこと。COOのMichael氏にこのレンガについて話をうかがった。

――Kubikのレンガを使うメリットを教えてください。

Michael:エチオピアをはじめとして多くのアフリカの国では、建築資材の調達は輸入に大きく依存しており、昨今ますます高価になってきています。Kubikのレンガは、セメントなどの従来の建築資材に比べて40%安く調達できます。さらにはセメントベースの製品の5倍以上のCO2排出量の削減効果があります。

――不要な廃棄プラスチックを、いま最も必要とされている“手頃な価格の住宅”に変えているのですね。安全性についてはいかがですか。

Michael:安全性は私たちの業務において最も重要な要素です。当社の製品は強度、防火性、経年劣化について繰り返しテストされています。

レンガで作成された家と、CEO・Asfaw氏(Kubik提供)