■家族の死
1940年に父ジョージが病死すると、兄弟は農場を手伝い、町でもよろず屋のようなことをするようになった。ゲインもしばしば子守りなどを引き受けていた。兄弟は変わり者ではあるが善良な隣人として、近隣住民からも頼りにされていたという。そういった周辺住民との関わり合いとの結果だろうか、兄ヘンリーは母親の言動を否定し始め、近所には母は病気だと話すようになった。ヘンリーは弟にも母親との距離が近すぎることを注意したという。当然、ゲインは兄に不満を抱くようになった。
1944年5月、ヘンリーが死亡した。農場の近くで火災が起きてゲイン兄弟が消火に向かったのだが、騒ぎの中で行方不明となり、数日後に遺体で見つかったのだ。遺体はすすで黒くなっていたが燃えてはおらず、頭部には打撲痕があった。しかし死因は窒息と判断され、それ以上の追及はされなかった。ゲインはこの件について詳細を話してはいないが、おそらく彼の犯行であるとみられている。
兄の死後、ゲインは母と二人暮らしとなったが、この生活は長く続かなかった。オーガスタは病に倒れ、息子の看病の甲斐なく1945年に死亡した。唯一の友人でもある愛する母の死に、ゲインは葬式でも号泣したという。そして、孤独となった彼は墓を掘り返すなど死者を冒涜する奇行を繰り返すようになる。