神宮外苑の問題はもともとトンチンカンだ。外苑ははっきりいって荒れて寂れている。前時代的な設計なので、再開発をすることが必要だった。ただ、神宮球場や秩父宮ラグビー場を追い出すわけにはいかないので、その制約の中では、最善かどうかはともかくあんなものだろう。いずれにしても、現状よりは遙かに経済的に合理性のみならず、快適な空間になるだろう。樹木の伐採など、しょっちゅう更新を繰り返してきたものだから残す意味など全くない。

私の意見はといえば、東京の都心は無駄に緑が多すぎ、郊外が少なすぎる。昔からいっているのは、神宮の森も外苑もかなり縮小してマンションにして、それを財源と種地にして、杉並区など防災上、危険な地域の再開発を進める種地にしたらどうかというものだ。

小池知事の問題点は、コロナの時でもそうだが、東京都の豊かな財政力にまかせて、ほかの道府県がまねできないようなバラマキ政策をとりがちなことだ。

これを東京都から財源を奪って取り上げないと行けないのだが、今回、自民党が小池氏を実質上、推さざるを得なかった経緯からして難しくなった。小池氏の勝利の悪影響の最たるものはこれだ。一方、公明党は小池氏をしっかり支えて成功し、来年の都議選にも明るい展望を得た。

前広島県安芸高田市長の石丸伸二氏は、本来は維新が裏で支援する候補に最適な人物だった。報道に拠れば、「石丸さんに“改革志向が共通する”と推薦を打診して断られた。それを根に持ち、“石丸支援だけは絶対に許さない”と手の平を返しただけ。単なる逆ギレですよ」「あっさり袖にされた維新は、小池百合子陣営にも支援の意向を伝えたが、「維新の支援にはメリットがないので無視した(都民ファーストの会幹部)」などと伝えられているが、支援組織をもたないで風に頼っているだけの東京の維新は、彼らが誰かを支持してもあまり意味がない。

維新になら投票するが、維新から誰々に投票しろと言われる義理はないということになる。それが、公明などとは違うところだ。国民や立憲もよく似たもの。連合の支持は有用だが、立憲や国民が支持してくれても、連合がついてくると限らないからだ。そこを指導者たちがよく理解すべきだ。

最後の段階になって維新は反石丸の姿勢を崩さず、かえって締め付けまでしたが、出口調査では維新の票は石丸に流れている。石丸に袖にされてもすがりついておくべきだった。京都市長選挙で村山祥栄を冷たく切り捨てたのと同じタイプの失敗だ。

蓮舫氏の失敗は結局のところ、2016年に私がアゴラと協力して二重国籍を摘発したときも、その後も、きっちり始末しなかったことだ。

私はいつか蓮舫が都知事に出馬するときにそなえて、いろいろ手を打ってきた。ひとつは二重国籍そのものは悪いものでないという間違った説を、ことあるごとに論破してきた。なにしろ米国国務省すら「推奨できない」といっているのである。

ともかく「二人分の権利と一人分の義務」という人間を認めることなどリベラルな正義からこそ否定されるべきなのだ。