1. 日本の対内直接投資残高:2022年

    最後に222年の対内直接投資残高です。

    図4 対内直接投資残高 日本 2022年日本銀行 対内直接投資残高 より

    図4が2022年の相手国別にみた対内直接投資残高です。

    アメリカが最大の対内直接投資相手国である事に変化はありません。

    全体のシェアは28%と、2005年の43%からは大幅に低下しています。

    金額を見ると8.3兆円で、2005年で5.1兆円だったことからすると2倍にも満たない程度です。

    日本からアメリカへの対外直接投資残高が17兆円から90兆円へと5倍以上に変化しているのとは大きな違いですね。

    17年間で上位国の顔ぶれも大きく変化しています。

    まず第2位にシンガポール(3.9兆円、13%)が、第3位にフランス(3.0兆円、10%)が続いています。

    対内直接投資ではフランスの存在感が大きいのが特徴的ですね。

    アジア圏では香港や台湾もシェアが拡大し、中国も上位国に入ってきています。

    オランダは残高が若干増えていますが、シェアは低下していますね。

    ドイツは残高が減り、シェアも低下しています。

    既にシンガポールや香港は日本よりも所得水準の高い国ですし、台湾も近い水準です。

    アジア圏でも、日本が逆に投資を受ける立場になりつつある事が窺えますね。

  2. 日本の直接投資残高の特徴

    今回は、日本の直接投資残高について、相手国別の変化をご紹介しました。

    対外直接投資は大幅に拡大していて、相手国の顔ぶれはあまり変わりません。アメリカ、オランダ、中国、イギリスが上位国となっています。

    一方で、対内直接投資はそれほど拡大しておらず、アメリカのシェアは低下しています。

    シンガポールや香港、台湾など日本より所得水準が高かったり同等の国のシェアが高まっていて、同じアジア圏からの投資が増えている事が確認できます。

    日本は所得水準が停滞し、物価比率も低下が続いていて安い国へと変化しています。

    近年円安が進んだこともあり、今後は対内直接投資も増えていくかもしれませんね。

    皆さんはどのように考えますか?

    編集部より:この記事は株式会社小川製作所 小川製作所ブログ 2024年7月5日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は「小川製作所ブログ:日本の経済統計と転換点」をご覧ください。