”芸術のために生きる、ニースのトラシェル&ロッチルドコレクション“展。
エルキュール、アントワーヌ、ドミニクのトラシェル3兄弟は、19世紀後半ニースで活躍した画家であり社交界の花形。当時ニースに滞在していた多くの英国富裕層のために絵を描いたり内装装飾も手掛けてた。特に兄様エルキュールが有名。ここやマセナ美術館に飾られているのをぼーっと観たことはあるけど、しっかり鑑賞するの、初めて。
たくさんをよーく観ると、すごくお上手!特に風景画、細部の精密度や白のハイライト的使い方が絶妙。ヴァトーの洗練に通じるし、輪郭ぼんやりさせたらターナーに近いものも感じる。油彩はもちろん、水彩がとっても好み。
二人の弟も兄様に負けず劣らず上手で、才気溢れる3兄弟を囲んで、ニースの社交界は賑わっていたのでしょうね。
そんな兄弟、とくにエルキュールと仲良しだったのが、ナサニエル&シャルロット・ド・ロッチルド夫妻(ナサニエルは英国系なので、ロスチャイルド、か)。ロンドンで知り合い、エルキュールはシャルロットの絵の先生も務め、ヨーロッパ中を一緒に旅した。(ちなみに、ナサニエルは、シャトー・ムートン・ロッチルドの創始者)なので、この企画展では、シャルロット作の絵画も展示。悪くない。
さらに、この2つのお金持ちファミリーのアートコレクション(古代から近代まで)も勢揃い。ボザールの建物自体が彼らが生きた時代の壮麗な邸宅なので、きっとトラシェル家もロッチルド家もこんな感じで装飾されてたのでしょう、と感じられ、企画内容と空間がぴったりマッチしてて、とても気持ちよく観られる。