人望や志だけでは足りない
日本を変えなければ日本は滅ぼされる。だから変えていかなければいけないんだというプロパガンダ活動には、当時の限られたコミュニケーション手段を考えれば、西郷隆盛という強力な霊媒のようなものが不可欠だったはずです。
高い志に加え、倒幕という明確な目標がそのために設定され、西郷らの導きのもと、多くの人が巻き込まれました。その目標は達成されましたが、その功績を持ち高い志を貫く西郷が、自ら目標を作れなくたった瞬間、それは誰かの欲望を実現させるための力にされました。
目標を自ら決められない、つまり権限行使ができない状態になった時点でその人はリーダーの座を然るべき後進に譲る必要があります。権限を持ったままそれを行使せずにその座に残ることで、最悪その権限を他人に悪用されてしまう可能性すらあるからです。すっぱりと身を引いて、口は出さない場所にいる必要があります。
リーダーは、これを肝に銘じておくべきでしょう。高い志を持ち、清貧、無私を貫いた明治のヒーローですら間違いを起こしたわけですから。
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羽石 晋(Susumu Haneishi) 上席コンサルタント コンサルティング部 課長。埼玉大学教育学部を卒業後、人材サービス企業のランスタッド株式会社に入社。支店長職を経て、関西中部エリア、中四国エリアのエリアマネージャー、再就職支援部部長を歴任し、識学に入社。