かつての会議・商談スペースにも絵画が並べられています。なんだか老舗ホテルの宴会場みたいな雰囲気です。紅いカーテンがいい味出してますね。

階段を下りて自席に戻るとコーヒーゼリーとバニラアイスが私を待っていました。コーヒーゼリーはこの店で淹れたコーヒーで作った本格派です。

「鳳来館」HPより。

コーヒーはサイフォンを使って抽出します。ドリップ式に比べ抽出ぶれが少なくなり味に差が生まれにくくなるほか、香りも豊かになります。あとはまぁ、サイフォンってなんかすごいカッコいいんですよね。これだけでここのコーヒーうまいだろって思ってしまいます。

席から店の入り口を眺めてみます。銀行の職員がカウンター越しに来客の応対をしていたことが想像できます。ここで飲むことができる紅茶などがカウンターに陳列されており、購入することも可能です。

鳳来館の裏に回ると蔵があります。明治時代に大野銀行ができたのと同時に建てられたと言われており、先ほどの洋館より歴史が古いです。当時は重要書類の保管庫として利用されていました。現在はアートギャラリーとして仏像や東海道五十三次の絵巻などが飾られています。

少し離れた敷地内にはかつて料亭として使われていた古民家があります。大正時代料亭菊水(通称とりや)として営業していました。これだけ立派な料亭があったことも、かつてこの地が養蚕などで繁栄を極めていた証だと思います。

菊水は肉屋も合わせて営業していたとのこと。多くの人たちがここで高級肉料理に舌鼓を打っていたことが想像できます。

大正期、大いに繁栄した新城市大野地区界隈。今は小さな集落ですがその繁栄ぶりを偲ぶことができました。鳳来館でお茶を飲みながら、しばし大正時代へのタイムスリップを楽しんでみてください。

編集部より:この記事はトラベルライターのミヤコカエデ氏のnote 2024年6月29日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はミヤコカエデ氏のnoteをご覧ください。