この図から、7日周期(1週周期)に加えて2週周期と1カ月周期付近のスペクトル密度にピークの存在が認められます。つまり、テレビ局は、週間の通常プログラムに加えて、2週あるいは1か月ごとに何かしらのプログラム調整を行なっていることがわかります。

なお、スペクトル密度解析ではピークが発生しませんでしたが、年間4回の番組改編期(それぞれ1月、4月、7月、10月第1週開始)にジャニーズ・タレントの出演番組数が減少していることがわかります。これは特別番組の放映により、レギュラー出演を基本とするジャニーズ・タレントの出番が減少することによるものと考えられます。

以上の定常的な波の特性を踏まえた上で、2023年1月から2024年6月までのジャニーズ・タレントの出演番組数の推移を見ていきたいと思います。

まず、ジャニーズ性加害問題の存在を世界に告発した英BBC『JPOPの捕食者』の放映の後に番組数が大きく減少していますが、これは単に4月の番組改編とタイミングが重なったものと考えられ、改編後には再び元の水準に戻っています。

つまりBBCの告発動画は、日本のテレビ局にとっては何の影響もなかったものと推察されます。というか、業界全体でシカトしていたわけですから、何の影響も出るはずがありません。

次に、カウアン・オカモト氏の会見や藤島ジュリー社長のビデオ会見があっても、番組数への影響はほとんど認められませんでした。しかしながら、国連人権理事会の作業グループの会見やジャニーズ再発防止特別チームの会見があった頃から番組数は微妙に減少しました。テレビ局は、日頃から人権を振りかざしている以上、国連や法律家の調査には敏感なのです。

さらに、この直後に開かれた1回目のジャニーズ会見をうけ、経団連会長が所属タレントのCM起用停止を宣言すると、番組数は大きく減少しました。正義よりも金儲けを優先するテレビ局にとって、ジャニーズ事務所は逆らえない存在ですが、広告収入をもたらすお得意様も逆らえない存在なのです。

2回目のジャニーズ会見でNGリストが発覚すると、テレビは一斉に論点そらしを始めました。ここで番組数の減少は止まり、20番組/日のレベルまでリバウンドしました。国民はテレビ局にまんまと騙されたのです。その後、旧ジャニーズ・タレント出演ゼロの紅白を挟んで、年末年始に一時的に番組数が激減するも年明けには定常状態に戻りました。

このまま、20番組/日を継続していくのかと思いきや、2024年4月の改編期にSTARTO ENTERTAINMENTが本格始動すると、旧ジャニーズ・タレントの出演番組数は激減し、5月に一時的に回復したものの、その後は12番組/日程度の低空飛行を続けています。これはBBCの告発報道前の半分程度の値です。おそらく年度が変わったことで、今度はテレビ局が旧ジャニーズ・タレントに見切りをつけた可能性があります。