【CASE3 福岡一家4人殺害事件 中国人留学生3人が…】

 異変に気づいたのは、一家の主人の父親だった。平成15年6月20日、いつものように、朝6時頃、孫を小学校に送るために訪ねると、福岡市東区にある家はもぬけの空だった。だが、2階のベッドルームには血痕があったので、福岡東署に捜索届けを出した。

 その日の午後2時25分、博多湾に人の足が浮いているのを、貯木場の作業員が発見する。引き上げられたのは、逆さまの状態の全裸の女性であった。近くの水深2メートルの辺りに、男性ひとり、子どもふたりの遺体が沈んでいた。全員おもちゃの手錠をかけられ、体には中国製の20キロの鉄アレイがくくりつけられていた。

 見つかったのは、家の主人の松本真二郎氏(41歳)、妻(40歳)、長男(11歳)、長女(3歳)の一家全員であった。

 松本氏がかつて博多で経営していた韓国料理店「動物園」は、SMAPのメンバーや元シブがき隊の布川敏和、東山紀之、中森明菜、梅宮辰夫・アンナ、美川憲一など芸能人も訪れる人気店だった。だがBSE騒動で客足が遠のき、平成14年には閉店に追い込まれていた。

 その後、松本氏は衣料品販売を始めるかたわら、無許可のヤミ金に出資したり、デリバリーヘルスを経営するなどしていた。当初は、金銭トラブルをめぐる怨恨からの犯行ではないかと疑われた。

 だが、鉄アレイを買った店が特定され、監視カメラの画像から、魏巍(ウェイウェイ、当時、23)、楊寧(ヤンニン、当時、23)、王亮(ワンリャン、当時、21)という名の3人の中国人留学生が浮かび上がる。そして、魏巍日本で逮捕され、楊寧と王亮は警視庁の国際指名手配によって、中国で逮捕された。

 3人は6月20日の深夜零時すぎ、松本宅に忍び込み、入浴中の奥さんを浴槽に沈めて殺害。松本氏と子どもの3人を絞殺していた。ベンツに乗っている松本氏を金持ちだと目をつけたのだが、奪った金は3万7千円。預金通帳やキャッシュカードも持ち去ったが、引き出しには成功していない。

 楊寧は1審で死刑判決を受けて控訴したが、棄却され平成17年7月12日に死刑執行された。王亮は遼寧省遼陽市の中級人民法院(地裁相当)で、無期懲役が確定した。魏巍は平成23年10月20日に最高裁で死刑が確定している。
(文=深笛義也)

※当記事は2015年の記事を再編集して掲載しています。

文=深笛義也

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提供元・TOCANA

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