3つのタイプ別上司へのコミュニケーション攻略法

―――サバサバ系・厳しい系・優しい系のタイプ別上司とコミュニケーションをうまく取るにはどうしたらいいのでしょうか。

まず、サバサバ系上司で、声が大きかったり、あまり細かいことは気にしなかったりする感じの人は、豪快に見えて実は意外と繊細な人が多い、というのが私の持論です。自分の繊細なところを豪快さで包んでいる人が多く、相手がちょっと嫌そうな顔をしたことを実はいつまでもウジウジと考えているタイプです。

こういう上司には「いつもありがとうございます」と、やっていることに感謝し、認めてあげると、「この子はわかってくれている」と急に距離が縮まります。「自分ばかりが頑張っている」と思っているタイプなので、「部下の私もちゃんと一緒に考えてますよ」というところを見せるとうまくやっていけると思います。

厳しい系の上司も対処法は似ています。自分に厳しく、自分のやっていることはたいしたことじゃないと思っているタイプなので、みんなもできると思い込んでいたりします。

「店長しかこんなことできないですよ」など、「あなたのやっていることは実はすごいんですよ」と気づかせて、上司の自己肯定感を高めると良いでしょう。このタイプは、部下の提案や相談に対して「こんなことしか考えてないの?」と思うことも多いので、なぜその考えに至ったのか、理由をきちんと説明することもポイントです。

優しい系の上司は、「こんなことを任せたら、プレッシャーになっちゃうかな」と、とにかく相手に対して気をつかっています。なので、部下の方から「私がやりましょうか」と声をかけることでうまくいきます。

ただ、部下に言われても「いいよ、大丈夫」と一人で仕事を抱え込むパターンが多いので、「その作業を替わりましょうか」とか「一緒にやりましょうか」など、具体的にやることを部下から提示することがポイントです。「その仕事を教えてください」と、教示を仰ぐのもおすすめです。

「でしゃばりだと思われたらどうしよう」と声をかけることをためらう若手の人も多いと思いますが、このタイプの上司は、そこは気にしないので、どんどん声をかけてみてください。

上司の背景を考えるとアクションが変わってくる

―――タイプ別の上司の攻略法はどうやって見つけたのでしょうか。

これは接客と一緒で、「この人にはどういう風に接したら、どういう反応が返ってくるのか」ということを、常に探ってきました。上司もお客様も、基本は人なので対処法は大きく変わらないのです。

上司は若手をひとくくりにしがちですが、実は若手の方も上司をひとくくりにしがちだと思うんです。上司にもさまざまな人がいるので、「この人がサバサバ系になった経緯はなんだろう、昔なにかあったのかな」とその人の背景まで考えると面白いですよ。

これは以前に聞いた話ですが、すぐ部下を決めつけた言い方をする上司に「自分を決めつけられて否定されると、すごく自信をなくしてしまいます」と正直に打ち明けてみたら、上司が反省してくれたそうです。「実は私も自信がなくて、決めつける言い方になってしまっていたんだけど、ごめんね」と言われて、その上司をすごく好きになれたとその人は話してくれました。

――上司に厳しいことを言われてショックを受けたり落ち込んだりするところから一歩進んで、「この人はどういう経緯でこうなのだろう」と考えてみると、相手へのアクションが変わってきますね。

叱られると相手を嫌いになってしまいそうですよね。でも、仕事で嫌いなものは少ないほうがうまくやっていけるものです。上司でも、お客様でも、目の前の相手を好きになるにはどうしたらいいのかと“攻略法”を考えると、楽しく仕事ができるんじゃないかなと思うんです。

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