職場で切っても切り離せない上司との関係。うまくコミュニケーションが取れずに悩んでいる若手ビジネスパーソンは多いはず。

著書『「若手と一緒に成果を出したい」と思ったら』を5月に発売した販売コンサルタントの平山枝美さんに、販売員でなくても使えるタイプ別上司のコミュニケーション攻略法などについてお聞きしました。

上司が若手の進言にYesと言えないのには理由がある

―――上司の言葉に納得できなかったり、上司と折り合いが悪かったりするとき、どういう行動をしていったら改善できるのでしょうか。

上司・部下両方の立場になった今だからわかるのですが、上司が若手から進言されたとき、「そうしよう」と即答できないのには理由があるんです。めんどうくさいとか、上の人に話をしに行くのが嫌など、感情的な理由もあります。ただ、そう思ってしまうことにも原因があって、例えば、以前上の人に相談したときに、すごく嫌な顔をされたことがあって及び腰になっているとか、改善しようと思ったけれどうまくいかなかったとか。

なので、上司が即答できないのはなぜなのか、という部分に部下が寄り添っていくことがポイントになります。

若手の方が会社に対して「ここが良くない」と思うことはよくありますよね。私は新入社員の時、帰りがすごく遅くなるのが嫌で、仕事を減らすため、閉店後にお店の服をたたむ作業はしなくていいんじゃないかと店長に提案したことがありました。

すると、最初は「そうだね、でもちゃんとたたんで帰らないとね」と言われて、自分の意見が聞き入れてもらえないと思ってモヤモヤしました。

でも、後からもう1回聞いてみたら、「盗難があったとき、どこを荒らされたかわからないから、たたんで帰るんだよ」と言われて、たたむ理由がはじめてわかりました。

なにか意見を言って通らなかったときは、まず「何か理由があるんじゃないか、そこを聞いてみよう」という意識を持ってほしいです。上司の言葉を一度聞き入れて、どういう理由があるのかを考えてから、再度理由を聞く。その理由を聞いて納得したら、自分が協力できる部分はないか考えてみてください。

「自分が進言したことを上司が全部やってくれる」という意識ではなく、「上司と一緒に取り組んでいこう」という意識を持ってもらえると、将来、自分が上司になったときに生かせるはずです。私の新刊『「若手と一緒に成果を出したい」と思ったら』は、上司向けに書いた本ですが、部下から上司に渡してほしいなと願っています。


平山さんの著書『「若手と一緒に成果を出したい」と思ったら』

―――たしかに、若手だと自分は指示以上のことをしてはいけないと思っていて、上司や会社が現状を変えてくれると考える人も多いかもしれません。

若手の方が先頭を切って「みんなやろうよ」と呼びかけることは反発も出るかもしれませんが、個人ではなく上司や同僚と取り組んでいけば進められると思います。

むしろ上司は日々の業務で忙しいので、部下からの進言を待っているのではないでしょうか。ただし、そこで「会社のやり方はおかしいと思うんです」という(一方的な)言い方をすると、「何も知らないくせに」と思われる可能性があります。なので、「こういう風にしたら良くなると考えたんですけれど、一緒にやってみませんか」と提案するように投げかければ受け入れられやすくなりますよ。

これからの世の中ではアイデアがとても大切なので、若手の方がアイデアを出すことで会社を良くするイノベーションを起こしてほしいです。