ビジネス
2024/06/25
里山の田んぼの真ん中にサウナ宿を作った意味とは?
前川社長
前川●当施設は当社のモデルハウス「景の家」を改装して活用しました。もともと一棟貸しの体験サービスを提供していて、劔岳を望める場所にありました。目の前が空き地の利活用を以前から模索していたタイミングでした。
川田●初めて訪れた際、「景の家」は感銘を受けました。玄関に入った瞬間、タイムスリップしてなつかしい感覚に切り替わります。静謐な木材の空間が広がっていて、あたたかく歓迎してもらっている気持ちになります。設計を手掛けた河合さんに会いたくなって前川さんと一緒に岐阜の河合さんの事務所を訪ねました。木の家が長く愛される理由や空間づくりの話をお聞きできたのはとても貴重でした。
前川●河合先生には10年来お世話になっています。「景の家」の他、当社の事務所に隣接する「埜の家」をはじめ、深い知見から設計のアドバイスをいただいています。土地の文化を大切にする前川建築の思想を大切にしてもらっています。
川田●岐阜ではサ活ハシゴもしましたね。いろいろなサウナを訪ねて前川さんは、よりサウナを好きになりました。サウナ体験を通して何が良いと感じるのか目線合わせができたことがとても大きい。ハマりすぎて「まだ帰りたくない〜」となっていました(笑)。
前川●いつもとは違う地域に行って、富山の気候とサウナの相性の良さを改めて実感しました。サウナが暮らしに密着している北欧と富山は気候が似ているそうですね。四季の表情がはっきりしていて、その時々に趣がある富山でこそサウナを日常的に楽しむライフスタイルが適していると確信しました。
剱岳を望むサウナ室
母屋から独立した贅沢なサウナ棟
立山を独り占めにできる「くらすサウナつるぎ」のこだわり
佐藤●富山のシンボルである立山連峰がドカンと見渡せる立地です。剱岳を見た瞬間に人は心を奪われます。私も縁があって夫婦で富山に移住して以来、立山が心の支えになっている地域の暮らしにいつもパワーをもらっています。
川田●今回のプロジェクトは「景の家」の場が持つ世界観を大切にしました。地域の風景に馴染んでいる一軒家を生かし、改修はお風呂など最小限にとどめました。庭先にサウナのための建物を新築。4人が住める広さの建物を木で建てました。「そこまでやるか」というところまでこだわりました。
前川●サウナ室の窓から立山の原風景が見えます。サウナ棟の中に内気浴ラウンジがあって、全面ガラス張り。デッキにもプールにもつながります。中にいるだけでも、立山連峰の雄大な景色が望めます。
カワちゃん
川田●サウナは座るだけでなく、寝転んだり、姿勢を変えたり、刻々と変わる立山の風景をいろいろな角度から楽しめます。中温でゆったりと長く入っていただけるサウナでは、一人あたりのスペースを広くとって、自然と会話が生まれる設計にしました。
佐藤●外気浴で何も考えない無為の時間こそが贅沢です。ふと空を見上げると視界に入る立山連峰の風景。時間の在り方を考えさせられ、心と体が整っていく。多忙な現代人は合理性を追求する毎日に翻弄されています。都会の暮らしに慣れ切った心と体に、立山は元気をもたらしてくれるのではないでしょうか。
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