他人の視点を意識しながら自由に発信してみる
最初はあまり深く考えず、自分が世の中に発信したいと思うことを自由に発信してみてください。しいて言えば、発信する時に先ほど説明した「役に立つ」あるいは「おもしろい」のいずれかの切り口が反映されているか、チェックしてみてください。
たとえばおいしいレストランに行ってきて「このレストラン、おすすめだよ!」とブログに書きたいのであれば、お店や料理の写真、料理の価格、雰囲気など、読者がほしいと思う情報を盛り込みます。そうすれば役に立つ記事を作ることができます。
「おもしろい」という観点で言えば、他人にとっておもしろいと思える内容となっているかが大事です。自分の話は自分が思ってるほど他人にとってはおもしろくない。このことを理解しておくことが大切なのです。
いわゆる「自分語り」と呼ばれる行為がありますが、これは極力やめておいたほうがいいということです。誤解していただきたくないのですが、自分の体験を話すこと自体は問題ありません。考えなければいけないのは、その体験が他人にとっておもしろいか、なのです。
たとえば世界一周をして海外で体験した話をすれば、他人は興味をもって聞いてくれるかもしれません。ほとんどの人は世界一周という経験をすることがないからです。
一方、失恋の話や会社であったつらい経験は、よっぽど壮絶な体験をしたり、珍しいケースを除けば、他人にとってはつまらないものです。友人なら興味をもって聞いてくれるかもしれません。しかし皆さんのことを全く知らない人が興味をもってくれる可能性は低いわけです。
何かを他人に伝えたい時、自分の経験談というのはたしかに大切です。説得力をもたせる効果的な情報になります。しかしうまく使えないと単なる自分語りに陥り、人からするとつまらないコンテンツになってしまうわけです。
自分語りは一つの例ですが、このように他人から見て自分のコンテンツはおもしろいのか、興味をもってもらえる内容になっているのか、冷静になって考えることが大切です。
そうしないと、「一生懸命コンテンツを作ってるのに、全然他人に興味をもってもらえない」という事態になります。
自分では良いコンテンツを作っているつもりなのに全然反響がない。そう感じるなら、他人から見ておもしろいコンテンツになっているか、今一度考えてみたほうがいいでしょう。
バズるコンテンツの方程式たくさんの人に見られるコンテンツを作るためのとっておきの秘訣があります。それは「需要ファースト」で情報発信をすることです。どういうことか。説明しましょう。
たとえば私が書いたYahoo!ニュースの記事で「『目標未達で有給取るの?』と上司から嫌味を言われたらどう返すのが正解か」というものがあります。この記事を書いたきっかけはYahoo!ニュースで話題になっていた別の記事でした。
若手社員が営業目標未達の状況で有給休暇を申請したところ、上司から「へぇ……目標未達なのに、有給取るんだ」と発言されたというものでした。話題になるということは、単純にそれだけ世の中の人が関心をもっているテーマということです。であれば、そのテーマについて記事を書けば、読まれる可能性は高くなります。
実際に私が書いた記事もコメントが150近くつき、たくさんの人に読まれました。この話でお伝えしたいのは、すでに話題になっているテーマで情報発信をすれば、それだけ読まれる可能性が高くなるということです。
どんなに素晴らしいことを書いていても、残念ながら世の中の人が興味をもってる内容・テーマでなければ見られません。コンテンツを見てもらうためには、まず興味をもってもらう必要があるのです。
では興味をもってもらうためにはどうするか。その一番簡単な方法が、すでに世の中の人が興味があるテーマ、たとえばテレビやX(旧 Twitter)、Yahoo!ニュースですでに話題になっているもの──これらを題材にコンテンツを作ることなのです。
「書きたいこと」だけではダメな理由こうして書くと当たり前のことなのですが、昔の私はこれを実践していませんでした。自分が書きたいと思うことを書きたい。その欲求が強かった私は、頭ではわかっていても、需要ファーストで情報発信をしようとは思わなかったのです。
その結果どうなったか。自分ではいいことを書いているのに全然読まれない──そう感じて苦しむことになりました。
ただし、需要だけを考えて記事を書くという意味ではありません。たとえばAIが今話題になっているからといって、AIについて全然くわしくないのに記事を書くのは困難でしょう。こうした情報発信の仕方をしていたら、長く続けられません。
何度も言うように、情報発信は継続することを一番に考えるべきです。そのためには自分が楽しく取り組めることを意識することが大切です。ここで書いたように、需要ファーストでコンテンツを作る姿勢は大切です。しかし同時に、自分が書きたいことを書いてもいいのです。
では、どうすれば社会の需要と自分が伝えたいことを両立できるのか。先ほどの目標未達の記事を例に説明しましょう。
「需要」と「伝えたいこと」を両立して発信する方法別の方が書いた目標未達の記事を読んだ時、私が最初に感じたのは「そもそも上司にこんなことを言われてる時点でダメなんじゃないか?」でした。簡単に言うと、部下自身がこまめに上司に報告をしていて、指示されたことを適切にこなしていれば、たとえ目標未達でも上司から何も言われないはず。そう思ったわけです。
私はこのことを伝えたいと思いました。そうして記事を書くことにしたのです。ここでのポイントは、書くテーマは需要ファーストが起点にはなっているものの、同時に自分が伝えたいことも書いているということです。
需要ファーストと、伝えたいことを書く。この2つが両立しているのがわかると思います。
需要ファーストだけだと、先ほど書いたように楽しく書けません。両立することで楽しく書くことができるのです。需要を起点に自分が伝えたいことをコンテンツにする。これがたくさんの人に見られるコンテンツを作るベストな戦略だと私は考えています。