Silalの成長を支えるリーダー

SilalのUAEにおける活躍は上述の通りだが、UAEで政府の援助を受けながら、同社を率いる人物は何者なのか。

設立以来およそ2年間CEOを務めたのが、Jamal Al Dhaheri氏だ。同氏は、アメリカのパシフィック大学で理学工学管理の学士号、ザイード大学で経営学修士号を取得し、SENAAT、アブダビ基礎産業公社(ADBIC)のCEO、Union Water and Electricity(UWEC)のCEO、アブダビ水電会社(ADWEA)の副所長やアブダビ国営石油会社(ADNOC)のオペレーションエンジニアなど、錚々たる企業において重要なポストを担ってきた。

Silal創業時より同社を先導してきたJamal Al Dhaheri氏は、2022年9月にCEOの座を退き、アブダビ空港のCEOおよびEmirates Steel Arkanの副会長に就任し、今なお同国において精力的に活動している。

その後を引き継いだのが、Salmeen Al Ameri氏だ。同氏は、イースタンワシントン大学でビジネス運営・管理の学士号、ソルボンヌ大学でコミュニケーション・管理・マーケティング&メディアの修士号を取得。その後Al DahraのCEO、DSVのボードメンバー、Agthia Groupの副会長、アブダビ下水サービス会社(ADSSC)のボードメンバーなど、多くの企業で高いポジションを経験してきた。

彼は従業員に力を与えながら収益性を高めるという志のもと、Silalの成長を支え続けている。

UAEのアグリテック市場とSilalの未来

Image Credit:Silal

UAEのアグリテック市場は、政府主導の積極的な投資や民間企業の懸命な取り組みによって、急速に成長している。グローバル調査機関GMI Researchのレポートによると、2023年~2030年にかけてCAGR15~20%と高い伸び率で成長する見込みだという。

Silalのターゲット市場は、UAE国内だけでなく、湾岸諸国や中東全域に広がっており、その影響力はますます拡大していくことであろう。「国家食料安全保障政策 2051」を打ち出したUAEの今後の食料事情の変化が楽しみであるのと同時に、国家政策の右腕を担うSilalの活躍から目が離せない。

文・Mika Ito
英国在住。元総合商社勤務、現在は在宅フリーランスとしてWebライター・業務支援等に携わる。