ウーブン・シティの取り組み意義と価値

従来からの“交通としての移動”に“人を感動させる”といった要素も取り込まれた価値がモビリティであるとするならば、高速移動や快適性、利便性といった移動における技術が主体であった状況から変革するための礎とも言える”ウーブン・シティ”での研究は、自動車産業にとってはもちろんのこと、社会や私たちの生活にとってもその意義はとても大きく、未来に向けて取り組むことに非常に大きい価値があると考えます。

例えば、これまでの移動という体験においても、目に映る景色やまだ見ぬ光景に出会えること、高速に快適に便利に、あるいは(音や爽快感等)刺激的に移動することや、それを支える技術によって人を感動させる要素は含まれているものの、あくまでも、それは移動から得られる感動であって、移動した後との繋がりについては、一部の旅行や鉄道会社のサービス等を除けばほとんど存在せず、移動以外の生活においては事業分野が異なることもあってサービスなどは限定的で、広義のモビリティとしての観点は含まれていなかったと言っても良いのではないでしょうか。

しかし、IoT(Internet of Things=モノのインターネット)化によって、例えば、スマート家電としてクルマの中から自宅のエアコンを操作できたり、スマートホームとして家のロックができたり、手首に腕時計のように装着したウェアラブルデバイスを活用して運転時の安全や日常の健康に役立てるといったように広義にモビリティを捉えることで、新しいことを研究開発していくことがより良い生活を実現する次世代に向けて、確実に社会から求められています。

“ウーブン・シティ”に限らず、新規事業など長期の研究開発を遂行するには多くの時間や資金といったリソースが必要で、それらを捻出するには経済が安定的に成長を続け、企業においても今の業績が好調なことはもとより長期的にも業績の見通しが立っていて、これらの研究開発に費やせるだけの企業体力が求められます。

今、トヨタがこういった取り組みをこれまでの企業努力で遂行できていることは日本の経済、特に自動車産業にとってはとても有意義で価値があり、巨大IT企業をはじめとする世界的企業が各国で次世代に向けた様々な研究開発に取り組む現状において、もし、”ウーブン・シティ”が日本に存在していなければ、グローバルにおける日本の自動車産業、いや、世界における日本の経済の位置付けも、また違っていたと大げさではなく考えられます。

つまり、「未来に向けた投資がどのくらいできるのか?」が政府や自治体はもとより企業においても重要な指標であって、国際社会の中での競争力を提示するひとつであることは疑いようもありません。

民間企業の経営では投資対効果が要求されるため、公共性や長期的視点に立って次世代技術を研究開発する難易度が、政府や自治体が主導する場合よりも非常に高く、民間企業であるトヨタが主体的に”ウーブン・シティ”のような研究開発を行う意義は極めて大きいのではないでしょうか。

“ウーブン・シティ”がこれから担う“モビリティ社会の変革”は、産業の垣根を越えて、様々な業界の企業と政府や自治体との連携や協力を実施することで、日本全体の発展にも寄与していくのではないかと思われます。

トヨタが取り組んでいる「Woven City(ウーブン・シティ)が担うモビリティ社会への変革とは?」【自動車業界の研究】
ウーブン・シティのイメージ図(ウーブン・バイ・トヨタ)(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)

ウーブン・シティは永遠に未完成

トヨタが“モビリティカンパニー”へのモデルチェンジを進めるにあたって”ウーブン・シティ”は非常に重要であることは間違いなく、永遠に未完成と提唱する通り、未来に向けたモビリティは継続的に進化や改善を続け、終わりなき研究開発によって、日本の自動車産業や関連産業、モビリティに関連する多くの産業が持続的に発展していくことこそが肝要だと考えられます。

モビリティの進化においても、DX(デジタルトランスフォーメーション)が極めて重要な役割を担っており、デジタルの進化がモビリティも飛躍的に進化させています。
現在、DXは多くの業界において重要に位置づけられていますが、どういった範囲をどのように効果的に推進していくのか?が問われていて、”ウーブン・シティ”においても、ソフトウェアやデジタル技術を活用して発明や開発を加速させているようです。

今回は自動車産業の域を超えて事業を拡張させ、モビリティから社会全体の産業を研究開発するテストコースと言っても過言ではない”ウーブン・シティ”の意義や価値を中心にご紹介しましたが、どんな業界の方でも発明者としてありとあらゆる可能性があると思いますので、興味のある方は先ずは訪れる人として関わってみると良いのではないでしょうか。

そして、「働く人、住む人、訪れる人」は誰しも「発明家マインドをもつ」とする”ウーブン・シティ”において、日本、いや世界の未来に向けて、とっても意義や価値のある取り組みに関われる、携われるチャンスは誰にでもある!と未来に向けた可能性を思わずにはいられません。

トヨタが取り組んでいる「Woven City(ウーブン・シティ)が担うモビリティ社会への変革とは?」【自動車業界の研究】
DXアプローチ(ABeam Consulting)(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)

参考リンク)
ウーブン・バイ・トヨタ
https://woven.toyota/jp/
ウーブン・シティ
https://www.woven-city.global/jpn/
ウーブン・シティ DEMONSTRATIONS
https://www.woven-city.global/jpn/services/
トヨタ自動車
https://global.toyota/jp/
トヨタ自動車 オリジンを新発売
https://global.toyota/jp/detail/12453742
トヨタ自動車東日本
https://www.toyota-ej.co.jp/index_top.html
豊田自動織機
https://www.toyota-shokki.co.jp/index.html
東京ドームシティ
https://www.tokyo-dome.co.jp/
東京ドームシティ 東京ドームについて
https://www.tokyo-dome.co.jp/faq/dome/

文・橋爪一仁/提供元・CARSMEET WEB

【関連記事】
【比較試乗】「フォルクスワーゲン TロックTDI Style Design Package vs TDI Sport vs TDI R-Line」アナタならどのT-ROCを選ぶ?
「キャデラック XT4」ジャーマンスリーをロックオン! プレミアムコンパクトSUVの大本命!【試乗記】
【インタビュー】このプロジェクトを通して日本のモータースポーツをもっと元気にしたい!「ARTAプロジェクトプロデューサー・鈴木 亜久里」
【国内試乗】「ホンダ N-ONE」見た目は変わらずも中身は大幅に進化
【国内試乗】「レクサス・ニューLS」徹底的な作りこみを施した常にイノベーションを追求するフラッグシップ