かつては現地に行って5500円の「1デーパスポート」を買い、並びさえすればアトラクションを利用することができた東京ディズニーリゾート(ディズニーR)。今月6日に東京ディズニーシーの新エリア「ファンタジースプリングス」がオープンしたことをきっかけに、チケットシステムの複雑化で下調べを入念に行っておかないと希望のアトラクションやパレードをまったく体験できない恐れがあることや、高額化した料金が改めてクローズアップされている。なぜ東京ディズニーリゾートは「ハードルの高い場所」化したのか。専門家の見解を交えて追ってみたい。

 東京ディズニーシー8番目のテーマポートとしてオープンしたファンタジースプリングス(FS)。投資額は約3200億円と2001年の開業以来、最大規模の開発で、映画『アナと雪の女王』『塔の上のラプンツェル』『ピーター・パン』の世界が再現されている。複数のアトラクションがあり、それぞれの映画の世界観を体験できる。

 同エリアには通常のパークチケットだけでは入場できない。入場・アトラクション利用のためのチケットは複数のタイプがある。無料で入手できるのが「スタンバイパス」だ。基本的には、入園後に東京ディズニーリゾート・アプリから利用したい施設・時間帯を選択し、パスを取得。選択した時間に列に並ぶという流れ。同時に複数のアトラクションのスタンバイパスを取得することはできない。公式サイト上には「スタンバイパスは施設等の入場を保証するものではありません」と記載されている。

 有料の「ディズニー・プレミアアクセス(DPA)」は、入園後にアプリ上で使用する施設と時間を選択するという流れは同じだが、短い待ち時間で希望する施設を利用することが可能。発行数に限りがあるため、売り切れとなる場合がある。料金の一例としては、アトラクション「アナとエルサのフローズンジャーニー」「ピーターパンのネバーランドアドベンチャー」はそれぞれ2000円、パレード・ショー「ビリーヴ!~シー・オブ・ドリームス~」は2500円となっている。他のアトラクションを購入する場合、購入から60分後、もしくは購入したDPAの利用開始時刻のいずれか早いほうの時間を過ぎてから購入するかたちになる。

 スタンバイパスとDPAともに数に限りがあるため、FSに入ってアトラクションを利用できる確率を高めるためには、日によってはディズニーシーの開園前から並ぶ必要がある。そのため、FSオープン日の6日には朝6時台の段階で入場ゲート前に長い行列ができていたが、当面は土日などに小さな子どもがいる家族連れがFS内のアトラクションを利用するにはハードルが高い状況が続きそうだ。

 実はそのような苦労をせずに、新エリアすべてのアトラクションを短い待ち時間で利用できる方法がある。「1デーパスポート:ファンタジースプリングス・マジック」を購入するという手だが、6つのディズニーホテル宿泊者だけが購入可能となっており、例えば「ファンタジースプリングスホテル」の宿泊料金(変動制)は一部屋あたり一泊約7~10万円ほどとなっており、家族4人の場合は宿泊代とチケット代あわせて20万円ほどの出費は覚悟しなければならない。

「プライオリティパス」は無料

 現在の東京ディズニーランドと東京ディズニーシーへの入場、アトラクション利用、ショー観覧の方法はどうなっているのか。まず、入場用の「パークチケット」である「1デーパスポート」を購入する必要がある。価格変動制で7900~1万900円(4~11歳は4700円~5600円、12~18歳は6600円~9000円)となっており、来客数が多い土曜日は1万900円になるケースが多い。

 パークに入場後、もし人気のアトラクションやキャラクターグリーティングを利用したい場合は公式アプリで無料の「東京ディズニーリゾート40周年記念プライオリティパス」を取得するとスムーズだ。そこから利用したい施設を選択し、指定された時間のパスを取得。自分で利用時間を選ぶことはできないが、短い待ち時間で施設を利用できる。当然ながら数に限りがあるため、希望のアトラクションを利用できない可能性がある。他の施設を取得する場合、取得から120分後もしくは取得した同パスのご利用開始時刻のいずれか早いほうの時間を過ぎると取得することができる。同じ施設を再び取得する場合、取得した同パスの利用後、もしくは利用終了時刻以降となる。

 一方、有料のDPAを取得すると、時間や入場時刻を指定して予約でき、短い待ち時間で利用できる。一例としてアトラクションの「スプラッシュ・マウンテン」は1500円、「エレクトリカルパレード・ドリームライツ」は2500円となっている。