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フルタイム4WDもあった、ライトデューティーSUV
ATや5ドア、ディーゼル車の不在が惜しかった
フルタイム4WDもあった、ライトデューティーSUV
初代ロッキーの構成は初代エスクードと似ており、独立した強固なラダーフレーム上に、クロカンとしてはスッキリとしたシティオフローダー風デザインで乗用車的な内装を持つボディを載せた、「本格クロカンの土台を持つ乗用車」といった感じ。
エンジンが1.6リッター直4SOHCガソリンエンジンだけだったのも初代エスクード初期型と共通でしたが、シティユースを考慮したフルタイム4WD車の存在で、エスクードより軟派な路線も狙っていました(パートタイム4WD車も設定)。
ただしフルタイム4WD車はパートタイム4WDと違って副変速機がハイ/ロー切り替え式の2段式ではなく1段のみ、エクストラ・ローギアもないので悪路走破性はセンターデフロックが頼りの、性格としては本格的なヘビーデューティーSUVよりライトデューティーSUV。
むしろ悪路など走らないユーザーにとっては都合がよいですし、タフトやラガーと異なり脱着可能なレジントップや、同じく脱着可能なルーフも全て外せば、オープンエアを楽しめる爽快なRVクロカン…として、人気を得ることが期待されたのです。
ATや5ドア、ディーゼル車の不在が惜しかった
日本では1997年までの約7年間(海外では1989~2002年の約13年)販売されたロッキーですが、残念ながらエスクードのような人気を得るにいたらず、日本国内では兄貴分のラガー同様、常にマイナーな存在であり続けました。
その原因として「あまりに無骨でスパルタンなクロカン風デザイン、特に素っ気ないフロントマスクが乗用車的なシティオフローダーとして、垢抜けていなさすぎた。」と、異型ヘッドランプで乗用車チックなフロントマスクだったエスクードとよく対比されます。
しかし根本的には発売初期のAT車不在(1992年に追加)、RVとして人気を左右したディーゼルエンジン車の不在、イメージとしてはともかく実用性のアピールで重要な5ドア車の不在と、「エスクードにあったものが、ロッキーにはなかった」のも問題でしょう。
さらに売りだった脱着式レジントップは分解できないため、外すのも大変なら出先に持っていくことができず置いていかねばなりませんでしたし(そのためにオプションでソフトトップはありましたが)、フルタイム4WD車も途中で廃止してしまいます。
根本的には海外向けがメインのため、RVブームに乗るための改良や発展をしてまで日本で売る必要性を感じなかったか、あるいはダイハツを傘下に置いているトヨタの、ランドクルーザープラド(特に3ドアショートボディ)と競合を避けたのかもしれません。