これほど彼が容量市場にこだわるのは、新電力が競争で不利になるからだ。容量市場は古い火力の発電容量を買う制度だから、大手電力は自社の発電所の容量を売り、広域機関からそれを買うので、ほとんど純負担が発生しない。
それに対して発電設備をもっていない新電力は広域機関に拠出金を払うので、1~2割コスト増になる。このため大手電力との競争に負けるというのだが、これは身勝手な理屈である。容量市場は再エネのバックアップなのだから、そのコスト負担がいやなら自前で発電や蓄電設備をもてばいいのだ。
脱炭素化はエネルギー安定供給を実現してから私は規制改革に反対しているのではない。内閣府の規制改革推進会議に協力したこともある。しかし河野氏と再エネTFがやっているのは、規制改革の私物化である。たとえば2023年12月に規制改革推進会議の出した中間答申には、なぜか(参考)として再エネタスクフォースの実績が書かれている。
規制改革推進会議は内閣府が正式に設置した会議だが、再エネTFは法的根拠のない河野氏の私兵である。その報告がなぜ推進会議の答申の中にまぎれこんでいるのか。これについて国会で追及された内閣府は答えられなかった。おそらく河野氏が押し込んだのだろう。
エネルギーは経済安全保障のコアである。河野氏(再エネTF)と孫正義氏(自然エネ財団)は、再エネを全国に拡大して火力を廃止に追い込み、日本のエネルギーを脆弱化して中国の支配下に置くことに貢献している。彼らが中国の工作員かどうかはわからないが、結果的に中国の国益に奉仕していることは間違いない。
再エネTFの解散を機に、政府は河野氏のエネルギー問題への影響力を断ち切り、自然エネルギー財団の公益認定を取り消し、エネルギー基本計画は安定供給を第一に考えて審議すべきだ。河野氏は再エネ拡大を至上命令と考えているようだが、それは脱炭素化の手段にすぎず、脱炭素化は緊急でも最優先でもない。安価なエネルギーが安定供給できてから考えればいい。