エンドユーザーの中小企業はDXで業務軽減・コスト削減
イネーブラーとブランドのパートナーシップは、エンドユーザーである中小企業の業務軽減やコストカットに貢献する。
POSと会計ソフトが別々の場合、売上データや仕入れ費用データを会計ソフトに手作業などで入力が必要だ。銀行口座決済やクレジットカード処理を記録する手間もある。しかしLayerのツールが組み込まれていれば、これらの作業をシームレスに自動化できるのだ。
Layerの共同創業者兼CEOのJustin Meretab氏は、TechCrunchのインタビューでこう語っている。「中小企業のユーザーたちが、Layerの組込み会計画面で“初めて”自社の損益を明確に把握できたと言うので驚きました」会計ソフトを別途使用すると、全体を俯瞰したデータ分析は難しい。しかし、会計・簿記サービスが組み込まれていれば、中小企業は新たな投資をせずにデータ経営を実現でき、DX推進に直結する。
イネーブラーがブランドの立場もエンドユーザーのニーズも把握
そもそも、Layer社CEOのJustin Meretab氏は、同社にとって現在の顧客企業かつ投資家でもあるSquare社の出身。かつてはMeretab氏自身が上図の「ブランド」企業の社員だったのだ。
さらに、Squareでプロダクトマネージャーおよび金融サービス担当として務めた6年間は、「エンドユーザー」の要望が直接届く立場にあった。組込み型会計市場のポテンシャルに気づいたのも、そうしたエンドユーザーの声がきっかけだ。
共同設立者兼CTOのDaniel O’Neel氏は、WealthfrontやSherlockでエンジニアとしての経験を持つ人物。Meretab氏と共に1年を費やして、組込み型SMB会計システムをこの世に生み出した。資金調達の発表に際し、「垂直ソフトウェアプラットフォームに会計ソフトを組み込む方法は1年前まで存在していなかった」とLinkedInで振り返っている。会計ソフト大手のQuickBooksに取って代わることを目指すLayerだが、実現の可能性はどれだけあるだろうか。Fit Small Businessの分析によれば、QuickBooksはアメリカの会計ソフト市場で81%という圧倒的なシェアを誇る(日本のシェアトップは弥生シリーズ)。