日テレ側と小学館側の認識が食い違っている部分も

 小学館に先立ち日本テレビは5月31日、社内特別調査チームがまとめた調査報告書を公表していた。そのなかで、芦原さんが日本テレビに「ドラマ化するなら『必ず漫画に忠実に』。漫画に忠実でない場合は本件原作者がしっかりと加筆修正すること」を条件として提示していたのかという点について、日本テレビは「条件は伝えられていなかった」との認識を示している。一方、小学館は

「条件として文書で明示しているわけではないが、漫画を原作としてドラマ化する以上、『原作漫画とドラマは全く別物なので、自由に好き勝手にやってください』旨言われない限り、原作漫画に忠実にドラマ化することは当然」

という認識であった。

 また、「ドラマオリジナル部分については、原作者が用意したものを、そのまま脚本化する者を想定する必要や、場合によっては、原作者が脚本を執筆する可能性もあること」について、日本テレビは「上記のような条件を言われたことはなかった」との認識を示している。一方、小学館は日本テレビに対し「脚本が原作者の意図を十分汲まず、原作者の承諾を得られないときは、原作者に脚本を書いてもらうこともある」と伝えたとの認識であった。

「小学館からは、未完部分はドラマオリジナルのエンドでよい、という話であった」(日本テレビ/同社報告書より)

「未完部分は原作に影響を与えないよう、原作者が提案するものをベースにしたドラマオリジナルエンドで良いという趣旨で言った」(小学館/同)

 テレビ局関係者はいう。

「日本テレビの報告書では、同社のプロデューサーが小学館から受けたプロットと脚本に関する修正などの要望を、脚本家にきちんと伝えていたのかどうかという点がすっぽりと抜けている。一方、小学館の報告書ではその点に関する検証が繰り返し出てきており、日本テレビから脚本家に伝えられていなかったケースが多かったことがわかる。また、日テレ側と小学館側の認識が食い違っている部分も目立つが、両者ともに重要な点を曖昧にしたまま進めたことが不幸な結果を招いた」

 ドラマ制作関係者はいう。

「プロデューサーがきちんと芦原さんからあがってきた指摘や要請を脚本家に伝えていなかった点が根本原因だろう。脚本家に仕事をお願いする際に、芦原さんから原作にできるだけ忠実であることを要求されている旨を伝えていなかったため、脚本家から『話が違う』と言われて揉めることを恐れたためだろうが、たとえ脚本家が降板する事態になったとしても、きちんと小学館から示された修正依頼を伝えるべきだった。小学館と芦原さんからすれば、何度も『これ以上創作を入れないで』と言っているにもかかわらず、それが無視され続けたわけで、そのストレスは相当なものだったと考えられる。

 もちろんテレビ局の名前でドラマを制作・放送する以上、原作サイドからの要望をすべて丸のみする必要はないし、提案や要望を行うのは当然のことだ。だが、報告書に書かれているように芦原さんからの修正要請を断わったり、脚本家が芦原さんの説明に拒否反応を示していると告げるというのは、明らかにルール違反だ」

(文=Business Journal編集部)

提供元・Business Journal

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