脚本家「脚本を芦原氏が書くという条件であれば脚本を引き受けなかった」

 ちなみに日本テレビ社員はヒヤリングに対し「詳細プロットを書くとの申し出があっただけで、自分は、脚本とは聞いていない」と回答しているが、日本テレビ社員は小学館から送られてきた「芦原先生の方から、脚本もしくは詳細プロットの体裁でご提案させて頂けませんでしょうか」とのメールに対し、「結果進めさせて頂くとのことで承知しました」と返信しているため、報告書は「脚本を書く場合もあることを合意したことは明らかである」と判断している。脚本家は「脚本を芦原氏が書くという条件であれば脚本を引き受けなかった」と回答している。

 また、日本テレビは「もし脚本が芦原先生の意図を十分汲まず、芦原先生の承諾を得られないときは、芦原先生に脚本も書いてもらうこともある」と言われた記憶はないとしている一方、調査に対し「6 月 10 日の貴社●●様(社員B。原文は実名)から●●(日本テレビ社員Y氏。原文は実名)へのメールよりも前に、明確な条件としてはお伝えいただいておりません」と回答しており、報告書は「話があったことを否定してはいない」と結論づけている。

 そして報告書は一連の調査に基づき、次のように総括している。

「芦原氏が何度も同じ指摘をしないと原作に沿った脚本の修正がなかったことと、日本テレビ側が芦原氏の修正意見について反論して、従前の脚本を維持しようとしたことがあり、芦原氏や社員 A に大きな負担を強いた。この度、本件脚本家の回答によれば、その大きな原因として、日本テレビ社員Y氏が、芦原氏の意向をふまえて社員 A がアレンジやエピソードの入れ替えなどをしないように何度も強く求めたことを本件脚本家に伝えていなかったり、監督など制作陣の意見を反映したりした可能性がある」

「10月2日の『芦原さんが描き下ろした8~10話は基本的に変更無しで使用してほしい、という話は本件脚本家に伝わっていますか?』との問いかけも本件脚本家は知らされておらず、結局、芦原氏の詳細プロットの改変を極力避けて欲しいとの小学館の希望が本件脚本家に伝わっていなかった可能性が高い」