シフト操作が「日常の一部」に
続いて考えられるのは、「家の車がMTだった」などの環境的な要因です。MTで免許を取得し、家の車がMTだと、そのまま「MTの操作が当たり前」といった意識が定着するケースも考えられます。
「私が免許をとったのは30年以上前ですが、当時はAT限定の制度もなく、また家の車がずっとMTだったこともあり、私自身もとくに疑問もなくMTの車を買いました。まだ景気がよかった頃ですから、周りには大学を出ていきなりマークIIやプレリュードなんかを買っている人もいましたが、私にとっては車自体が贅沢品だったので、ホンダの初代シティを選びました。
大の車好きというわけでもないのですが、通勤で毎日MTを操作しているうちに、シフト操作が一種のルーティンのように感じられてきたんですよね。10年以上シティに乗って、その後はターボのないスターレットや、スポーツグレードではないスイフトなんかをMTで乗り継いできました。
たぶん、小さくて軽い車を小気味よく動かす感触が好きなんでしょうね。たまに代車などでATに乗ると、リズムが掴めず調子が狂うというか。なのでおそらく、今後も運転できなくなるまでMTに乗りつづけると思います」(50代男性)
こちらのお話にもあるように、長年続けたシフト操作は身体に刷り込まれたものですから、それなしでは違和感が生じてしまうのも無理はないでしょう。メーカーが実用車にMTのグレードを残しているのは、こうした方々への配慮も大きく関係しているのかもしれません。